本記事では「アメリカ・ブラックムービーTOP5」ということで、黒人名作映画を本記事ではご紹介しています。
当ブログでも度々話題にしているアメリカの人種問題ですが、映画から垣間見れる「アメリカ社会と文化」をブラックムービーと共にご紹介していきます。
ブラックムービーとは?
ブラックムービーとは黒人をメインにキャストして、黒人コミュニティの文化や生活を伝えるアメリカ映画のジャンルの一つです。
英語では「Black Film」と呼ばれていて、アメリカでは年に一回「American Black Film Festival」というのが開かれます。
主にヒップホップやバスケットボール、黒人社会のギャング争いにおける悲劇や差別などを題材にした映画が多い印象です。
ちなみに僕はブラックムービーの巨匠でもある「スパイク・リー」の映画は「ほぼ全部見た」と豪語しているので、本記事ではそんな僕がおすすめするブラックムービーをご紹介しています。
ブラックムービーTOP5
5位:マルコムX
まずは当ブログでも度々ご紹介している「マルコムX」を題材にした映画です。
監督スパイク・リーで、主演はデンゼル・ワシントンです。
ちなみにですが、デンゼル・ワシントン先生もブラックムービー常連です。
ストーリー
マルコムXとは1960年代、アメリカが人種問題がかなり深刻だった頃に活躍した黒人指導者です。
日本で有名なのは公民権運動に尽力した「キング牧師」ですが、そんな穏健派なキング牧師とは対象的な「黒人民族主義」を唱えたのが「マルコムX」です。
マルコムXはアメリカでは間違いなく「偉人の1人」として認識されている人物です。
映画の中ではマルコムXの悲惨な幼少期・黒人差別主義者に父親が暴行&殺害され、青年期には窃盗で刑務所行きになり獄中での生活が前半部分を占めます。
その後、刑務所の中で出会ったイスラム系運動組織の人物に影響され、黒人指導者に目覚め暗殺されるまでの一生が描かれています。
3時間半くらいのかなり長い映画なので、休日に見るのが良いかと思います。笑
個人的には獄中のシーンでマルコムXが辞書を開いて、AからZまでの単語をひたすら勉強し直していく下りが好きです。
「マルコムXという人物についてもっと詳しく知りたいよ」という方はこちらの記事がオススメです⇓
4位:Juice
監督はアーネスト・R ディッカーソン、主演オマー・エップスと2PAC(ラッパー)の1992年公開の「青春バイオレントムービー」です。
映画の中ではひたすらラップミュージックが流れていて、そのビートに乗ってストーリーが進んでいくので見ていて気持ち良いです。
ストーリー
まだ10代である4人の少年が、ある日ふとしたキッカケに銃を手に入れるところから悲劇が始まります。
日本では起こりえない出来事もアメリカ社会のゲトーの中では起きてしまうということで、当時高校生だった僕はこの映画を見て衝撃を受けたのを覚えています。
2PAC演じる「ビショップ」が途中で壊れていく様も心撃たれます。
僕の中では神的存在である2PACですが、この映画は僕に多大な影響を与えました(良い意味でも悪い意味でも)。
今は亡き2PACの代表作です。
3位:ボーイズン・ザ・フッド
ジョン・シングルトン監督の1991年公開の映画で、こちらも「傑作」と名高いです。
今でも犯罪が多く「絶対に近づくな」とまで言われている、ロサンゼルス・サウスセントラル地区を舞台にした黒人家族を描いた物語。
こちらはブラックムービー好き、Hip-Hop好きは「知らない人はいない」くらいの名作です。
ストーリー
現在アメリカで起きているギャング争い・凶悪犯罪・ゲトーと言われる地域は黒人によるものが多くを占めます。
逆にそういった犯罪の被害に遭っているのも黒人というのも事実です。
これは単に統計上だけの数字であり、実際の背景を見てみると見方は変わります。
アメリカという超格差社会の貧困地域で育った人達は数少ないチャンスの中で、理不尽な人種差別と戦って生きていかなければならないのが現実です。
そんなアメリカの現実をこの映画では伝えています。
当作品では腐敗したアメリカ社会の中で必死に生きた若者の悲劇を描いており、僕のアメリカ史観を変えてくれた映画です。
2位:Do the Right Thing
「ブラックムービーの歴史はこの映画から始まった」と言っても過言ではないかと。
スパイク・リー監督の代表作「Do the Right Thing」です。
80年代のニューヨーク・ブルックリンの黒人とイタリア系白人との確執を描いた映画です。
ストーリー
ニューヨーク市の少し外れにあるブルックリン地区は昔から低労働者が多く住む地域でした。
特に80年代&90年代はHip-Hopをはじめ、多くのサブカルチャーが繁栄した街です。
今でこそ発展して「おしゃれな街」という印象ですが、昔はそこら中グラフティで埋め尽くされ、まさに「ニューヨークの治安の悪さを象徴する街」という感じです。
ブルックリンに住む多くの若者は「いつか俺もあの橋(ブルックリンブリッジ)を渡ってマンハッタンに行く。そして有名になるんだ」と夢を見ました。
あの有名なラッパー「Jay-Z」もニューヨーク市ブルックリンの出身です。
それこそ現在のJay-Zはアメリカが世界に誇るラッパーですが、ブルックリンで育った幼少期は片親のもとで生活保護を受けながら団地暮らしをしていたという壮絶な過去があります。
「俺たちが夢を掴むには勉強よりもこれなんだ」ということで、ブルックリンの黒人たちは仲間と共に日々ダンス・グラフィティ・ラップなどに勤しみました。
ブルックリン地域でサブカルチャーが発展したのもこういった背景からです。
かなり話がそれていますが、そんなブルックリンのサブカルチャーをポップに出しつつ、貧困&人種間の争いを見事に問題提起しているのが、「Do the Right Thing」という映画です。
従来のブラックムービーとはかけ離れたポップ&カラフルな映画です(そこがまた良い)。
ブラックムービー好き&HipHop好きにとっては「最強の1作」です。
1位:ポケットいっぱいの涙
さて、前述したDo the Right Thingを「最強の1作」と言ってしまいましたが、こちらは「ポケットいっぱいの涙」英語: 「Menace II Society」という映画で、この作品こそが「最強」です。
監督はアレン・ヒューズとアルバート・ヒューズで、1993年にリリースされた映画です。
高校生の時にこの映画を見て、かなり印象深かったということで1位にしました。
ストーリー
こちらも上記の「ボーイズン・ザ・フッド」と同じ、ロサンゼルス・サウスセントラル地区を舞台にしています。
この地区によくある「人種間の争い」、韓国系アメリカ人が経営する酒屋での残虐シーンからストーリーが始まり、終始えげつないくらいの暴力シーンがあります。
麻薬密売や車の窃盗を繰り返しながらゲトーで生き抜いた若者が、恋人と新しい人生を歩むためサウスセントラルの街を出ようとした時に起こる悲劇。
この手の映画ではありがちな流れで、「自業自得」と言ってしまえばおしまいですが、なんとも考えさせられる映画です。
昔は成人式というのは「20歳まで無事に育った」ことを祝う行事でした。
映画の中ではサウスセントラルという超過酷な社会の中で「なんとか今年も殺されずに生き抜いたね」と言って誕生日を祝うシーンがあります。
表向きでは平和なアメリカでも、地域によっては戦争さながらで生活している人、「こちらがやらなければやられてしまう社会」まさに弱肉強食の世界がアメリカにもあるんだなぁと気付かされたのがこの映画を初めて観た時です。
黒人映画から学べること
僕はもともとHip-Hopをはじめ、そのへんのサブカルチャーが好きだったこともあり、ブラックムービーをたくさん見ていた時期もありました。
その頃はまさか将来アメリカに留学で行くことになるとは思ってもいませんでしたが、高校生くらいに見ていたこれらの映画が今のアメリカに対する見方や問題意識に基づいています。
アメリカの社会問題は多数ありますが、これらの映画を見たらなんとなく見えてくるものはあるので全力でオススメします。
「もっとアメリカについて知りたいな」という方は下の記事でもっと詳しく書いてあるので読んでみてください⇓
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