「アメリカには敬語も上下関係もない」という大きな誤解

「アメリカには敬語も上下関係もない」という大きな誤解

 

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とある友人「アメリカってみんなフランクで上下関係とかないんでしょ?」

僕「年功序列はないけど、上下関係はあるよ」

とある友人「そうなんだ!」

僕「英語には尊敬語、敬語とかもあるしね」

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こんにちは。本記事は「ミナトのすゝめ」文化記事です。

結論から言うと英語にも敬語はあります。

 

ということで、先日ツイッターにてこんなことをつぶやきました⇩

 

 

日本は古くから儒教の文化を取り入れ、お年寄りを敬い、目上の人に対しての礼儀がかなり大事だとされていますが、海外ではどうなのでしょうか。

「英語には敬語のようなものはない」と思いがちですが、英語にも敬語、尊敬語のようなものは存在し、英語圏の国にも「上下関係」はあります。

 

本記事では「上下関係」に関して、日本とアメリカの文化の違いを解説しています。

 

英語に敬語はあるの?

 

「英語には敬語のようなものはないよね」

 

以前、英語ネイティブであり、スペイン語、韓国語、日本語の4カ国語を話せる超マルチリンガルなアメリカ人に僕がこう言ったところ鼻で笑われたことがあります。

つまり、英語ネイティブは常にフォーマル英語とカジュアル英語を使い分けているとのことです。

 

僕もアメリカに長期間住んでから実際に感じますが、英語にも敬語があります。

身近なところで言えば、大学の教授や学校の先生、ビジネスの場や、レストランではフォーマル英語を使います。

 

日本のように同等な関係同士や、1歳年が違うだけだったら敬語を使う必要はありませんが、

「フォーマルな英語を使う」=「相手を敬う(リスペクトする)」という意味で、アメリカでもとても大切です。

 

例えば…

 

人の名前を呼ぶ時には、「名字+敬称(Title)」をつけるのは基本です。

 

「Mr. Smith」⇨男性

「Ms. Smith」⇨女性

「Dr. Smith」⇨医師や博士号を持った人

「Professor. Smith」⇨〜教授

「Master Smith」⇨〜師匠

「Lord Smith」⇨〜様

 

最後の2つは日常ではまず使いませんが、この中でも「Dr.」や「Professor」などの敬称に関しては使わないといけない場面も多々あります。

また、語尾や語頭に「Sir(男性)」や「Ma’am(女性)」をつけるのは英語の敬語の代表例です。

 

英語の敬語というのはこれだけでなく、単語自体を変えたり、副詞を加えたり、受動態にしたり、「文章を回りくどく」することにより敬語になります。

これは慣れていないとわかりづらいですが、英語ネイティブは常に使い分けをしています。

 

Thanks ⇨ ありがとう

I appreciate it ⇨ ありがとうございます

 

Sorry ⇨ごめん

My apologies ⇨ 申し訳ございません

 

Really? ⇨ 本当に?

Is that so? ⇨ 本当ですか?

 

You are welcome ⇨ どういたしまして

My pleasure ⇨ 光栄です

 

Where is the bathroom? ⇨ トイレはどこ?

Could you tell me where the bathroom is? ⇨トイレはどこにあるか教えてもらえませんか?

 

Can I smoke here? ⇨ タバコ吸ってもいい?

Would you mind if I smoke here? ⇨ ここでタバコを吸っても大丈夫ですか?

 

You should improve your presentation by 〜 ing ⇨ あなたのプレゼンはもっと〜して改善すべき

Your presentation could be improved by 〜 ing ⇨ あなたのプレゼンは〜すれば改善されるかもしれません

 

基本的に英語は長く、回りくどくすればするほど丁寧になります。

 

ask ⇨ inquire(伺う、質問する)

say ⇨ comment(述べる)

help ⇨ assist(助ける)

hand out ⇨ distribute(配布する)

do ⇨ execute(実行する)

 

また、このように単語自体を変えることで丁寧な表現になります。

「〜です」、「〜ます」をつければある程度丁寧になる日本語とは違い、ある意味で複雑でもあります。

 

 

上下関係は?

 

ではこれらの英語での敬語を「いつ使うの?」ということですが、これもまた日本とは異なります。

というのも、アメリカには日本のような年功序列は存在しません。

 

年上だから敬語を使わないといけないということはありません。

しかし、学校や大学の教員に対してや、会社やバイト先での上の立場の人などには敬語です。

 

また、お年寄りなどにも敬語を使います。

人によっては、自分の祖父母にも敬語を使う人もいますし、70年代など昔は親に対しても敬語です。

 

学校に関して言えば、小学校の教員と高校の教員では生徒に対する態度も違います。

例えば、小学校では生徒と先生の間には大きな立場の差があるので、生徒は敬語を使ったり、態度が良くなければ怒られますが、高校生になれば生徒と先生はもっと同等に近い関係性になるので、教員も生徒に対してより敬意を払いながら接します。

 

部活動(クラブ)に関しても上下関係はあります。

強いクラブであれば、レギュラーではない人が、レギュラーメンバーの練習をお手伝いをしたり、「ブラザーフッド」などと言い、兄の立場である人が弟を色々な面で助けるかわりに、弟は兄の言うことを聞くという制度もあります。

 

これはPL学園の野球部で有名な3年生と1年生の「付き人制度」に似ています。

僕もインディアナ州の大学にいた頃、100年近くの伝統があるクラブに所属していましたが、新入生には一人「ビックブラザー」というのが付き、色々な面倒を見てくれました。

 

その代わり、一員である証のピンバッジを毎日付けてないといけなかったり、色々な細かいルールが付きまといます。

このように組織の中でブラザーやらファミリー認定されれば上下の関係が存在し、それによってルールやしきたりもあります。

 

職業別で言えば、料理人になるには最初の数年間は皿洗いで終わるのは基本で、新聞記者ならば最初の数年は上司に付きっきりになるのがお決まりでもあります。

 

 

このようにアメリカにも上下関係は存在します。

しかし、何度も言うように日本の年功序列とは違います。

 

あくまでアメリカは実力主義です。

実力があればいくらでも上に上がれるし、正当な理由があれば上司になにを言っても聞いてもらえます。

 

だからこそ、日本の体育会系部活に見られるような陰湿な下級生いじめや、上級生や上司に対しての忖度のようなものはアメリカには存在しません。

そのへんは日本の上下関係とはまた違います。

 

日本語の「上下関係」を英語に訳すとすれば「Brotherhood」が近いかもしれませんね。

 

 

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