「イスラム教、最大の国」
こう聞くと、サウジアラビアやイランなどの中東地域の国かとも思いますが、実際は違います。
アジアの島国、「インドネシア」が今日において「世界で最もイスラム教徒が多い国」ということで知られています。
本記事ではその理由に関して詳しく解説していき、イスラム教というのがインドネシアという国にとってどういって意味を持っているのかを詳しく書いていきます。
イスラム教の歴史
イスラム教の成立は7世紀までさかのぼります。
アラビア半島の商業都市であった「メッカ」という場所から始まりました。
上の写真ですね。
このメッカという場所はサウジアラビアにある都市で、現在でも「聖地」として知られています。
イスラム教の歴史において、ムハンマドという人物がかなり重要なのですが、このムハンマドは6世紀後半にメッカで商人の家に生まれました。
40歳の頃に「神の掲示を受けた」として、メッカの地で神は唯一アッラーのみであるとし、偶像崇拝を禁止しました。
これを詳しく記した経典を「コーラン」と言いますが、そこには豚肉を食べることの禁止や、飲酒の禁止、1日5回の礼拝や、断食や巡礼など、わりと厳しく決まりごとが書いてあります。
しばらくして、ムハンマドはメッカにて迫害されるようになり、メッカからメディナという地に移ります。
ここから、徐々に勢力を伸ばしていき、最終的にムハンマドは630年に聖地であるメッカを征服し、632年に亡くなりました。
こんなところが、簡単なイスラム教の成り立ちになります。
イスラム教に関してはこちらの本がわかりやすくなってます。
ムスリム商人
「ムスリム」とは、“神に帰依する者”という意味で、イスラム教徒のことを指します。
「ムスリム商人」とはつまり、イスラム教を信じながら商業に従事する者のことです。
商売人のことですね。
このムスリム商人というのが、イスラム帝国の成長と経済発展と同時に世界各地に活動範囲を広げていきました。
陸路で中央アジアやアフリカ内陸にも進出し、海上貿易でアラビア海に進出、そこからインド、その先の東南アジアや中国との交易をどんどん行っていきました。
交易と同時に科学も発展し、特に医学、植物学、数学、化学、物理などの分野で様々な発明が生まれます。
まさにヨーロッパでいう「大航海時代」から「産業革命」のような時代でした。
イスラム教全盛期でもあります。
このイスラム帝国が栄えた800年から1300年くらいまでの時代を「イスラーム黄金時代」ともいったりします。
ムスリム商人、インドネシアへ
そしてイスラム教がインドネシアに渡ったのがまさにこの頃です。
大航海時代にキリスト教が世界に広がったのと似てるかもしれませんね。
日本にキリスト教が渡ってきたのもザビエルの時代、戦国時代の頃でしたね。
西欧諸国によるキリスト教の布教は植民地支配というのが主な理由ですが、イスラム教の頃は貿易が主な理由でした。
まずはムスリム商人が世界各地に拡がっていき、商売、貿易をしていくうちにアジア各地にイスラム教も増えていきました。
また、これも西洋の植民地化と同じように、アフリカからの奴隷貿易もどんどん増えていきました。
「アラブ商人」や「アラブの奴隷貿易」、「イスラームの奴隷貿易」とも言いますが、この頃から今現在に至るまでもアフリカ大陸から中東の貴族に奴隷が運ばれて行きました。
これにより、イスラム帝国はどんどん栄えていきます。
インドネシアとイスラム教
この頃の東南アジアは様々な王朝によって支配されていました。
ムスリム商人たちはまずこれら現地の支配者層と密接な関係を築いていきます。
商売のプロですね。
営業や商社をやってる方であれば、このへんの歴史を知るとかなり活かせるものがあります。
そんな話はさておき、東南アジアの諸王朝でイスラム教の受容が始まるのが、スマトラ島北部でした。
出典:https://blog.goo.ne.jp/moglindo/e/4bf0199f3fddc36de524b81771076c75
これが現在のインドネシアの地図ですが、このスマトラ島北部から徐々にイスラム教が伝播されていきました。
インドネシアだけでなく、ここから現在のマレーシア、フィリピンなど、様々な国、王朝に拡がっていき、現在に至ります。
東南アジア一帯においてのイスラム教というのは、歴史的に貿易業者を通じて広がっていったものでした。
そんなこともあり、昔からこの宗教は近代的であり、様々な規律などが寛容でもあります。
伝統的な要素によって受け入れられている中東などの王国とは全然違います。
経典は同じだけど、それらの言葉の受け取り方、認識に違いがあるということですね。
インドネシアにとってのイスラム教とは
基本的には「多様性のある国」と言われるインドネシアですが、宗教に関しては90%の国民がイスラム教を信じているとも言われています。
300以上の民族がいて、一つの宗教を信じているというのもすごいですね。
規律は緩いとはいっても、コーランに書いてあることをないがしろにしているわけではなく、宗教はインドネシアの人にとってはとても重要なものになります。
代表的なものでいうと、「ハラール」という概念です。
ハラールとは、イスラム法に則った健全な商品や活動のことをいいます。
前述しましたが、イスラム教では豚肉やお酒、遺伝子組み換えをした植物などがいえますが、これらはインドネシアではアウトになります。
インドネシアでビジネスをやるにしても、この「ハラール」認定を受けなければならないので、わりと参入障壁が高くなっています。
逆に言えば、参入障壁が高いからこそ、ハラール認定された「良いモノ」は一気に成功できるとも言えます。
これから「インドネシアでビジネスをやろう」と考えている方は、まずはこのへんの宗教の違いを見てみると成功に近づきそうですね。
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