日本とアメリカでは銃に関しての概念が全く違います。
2016年に、「日本で銃による殺人事件が起こる確率」は、1000万人に1人(落雷による死亡事故と同等)というデータがでました。
100万人中31.2人(乗用車の事故と同等)のアメリカと比べると、日本での銃犯罪が圧倒的に少ないことが分かります。
本記事ではその理由について歴史的背景を中心に書いています。
歴史からみる銃の概念
ではなぜ銃における概念が日本とアメリカでこんなに違うのでしょうか。
それは歴史的背景が大きく関わってきます。
日本史
安土桃山時代の1588年、豊臣秀吉が天下統一をし、日本全国に「刀狩令」というのを布告します。
刀狩令
「日本が統一されて、荒れていた戦国の世も平和を迎えたから、百姓及び、すべての一般人は武器(日本刀のみ)を手放せ。争いが起こったら俺らでなんとかするから安心しろ」
このような法令を作り、兵農分離を進めました。
軍隊⇛武器を持っていい
農民⇛武器を持っちゃダメ
このように「一般人の武装禁止」の概念を確立しました。
これが現在の銃犯罪率に大きく影響します。
なぜかというと、アメリカの歴史をたどるとこれと真逆だからです。
アメリカ史
豊臣秀吉の刀狩令から現在に至るまで、日本では一般人の武器の所有は政府or幕府によって禁止されています。
一方で、アメリカは一般人の武器の所有を奨励しました(これが現在に至る)。
アメリカ独立戦争
アメリカはイギリスからの移民でできた人工国家です。
「イギリスからいざ独立しよう!」と立ち上がったのは、移民でアメリカに渡って来ていた人達、あくまで一般人です。
王様や国家権力はイギリス本土にいるわけです。
ではそんな一般人の集まりが、当時の世界の最大権威の一つでもあるイギリスから独立するためにどうすればいいのかを考えました。
一般人も武装してイギリスと戦うしかないんです。
つまり「義勇兵」という形で民衆が武器を持ってイギリス軍と戦いました。
結果的に勝つのですが、これはこの時の義勇兵の活躍があったからこそだと言われています(+フランスの援軍)。
アメリカでは今でもこの独立戦争を「栄光」だとしています。
日本⇛豊臣秀吉の刀狩令の影響で国民が武器を保有する概念がなかった。
アメリカ⇛独立戦争で民衆が武器を持って戦った。
武器の保有に関しての概念が違うのはココから来ています。
自由の概念
日本に「自由」という概念が入ってきたのは明治維新で西洋の文化を取り入れてからです。
それまでは、士農工商の身分制度があり、日本は「封建制」でした。
百姓⇛死ぬまで農業
基本的に身分選択の自由はなく、当然武器の所有も許されません。
幕府(政府)が絶対的権威でこれに逆らうことはまず考えられません。
アメリカの自由の概念
19世紀半ばにペリーが日本に来た時も日本はまだ封建制であったことから、日本を完全に下に見ました。
「アメリカ合衆国の人々はみな平等&自由であるし、皇帝や王様などは存在しない」
アメリカは独立前からこれをずっと言い続けてきました。
アメリカの多くの方々は独裁主義や絶対主義、それに属した政治体制を根本から否定し嫌います。
これから先、政治家が独裁的に政治を進めたり、明らかに悪い方向に国を傾かせる独裁者がいるならば、「いつでも国民は銃を持って戦うよ」というプレッシャーを常に政府にかけていると言えます。
根本的にアメリカのメディアが大きな力を持っているのもこの考え方からです。
銃規制の自由
日本で銃(狩猟用)を保有するには数カ月、費用は30万円近くかかり、3年に一度の更新が必要です。
まずは座学の授業を受けて、実技の試験、数回にわたるバックグラウンド&メンタルチェックなどの段階を経て狩猟用免許を取得することが出来ます。
一方アメリカはスーパーマーケットに銃が売っています。
子供でも狩猟ができ、免許は必要ないことが多い(州によっても異なる)、メンタルチェックは基本的にしません。
運転免許で言えば、
日本は車の免許を取るのに数十万円&講義を数回にわたって受けなければ車の運転は許されませんが、アメリカでは1万円弱&試験のみでカンタンに免許の取得ができます。
このように、
「アメリカは銃規制をするべきだ」とアメリカ人に言ったところで、
「日本にも自由が全然ないじゃん」と言い返されて終わりです。
そもそも感覚が違うということです。
「国民を守る規制」なのか、「国民を縛る規制」なのか難しいところですが、「安全に変えられるなら規制も仕方ない」というのが多くの日本人のスタンスかと思います。
結論:秀吉の功績は大きい
豊臣秀吉は日本で初めて「完全なる日本の統一」を成し遂げました。
刀狩(兵農分離)や太閤検地など様々な制度を進めていき、結果的にそれを徳川家康&江戸幕府が後続するという形になりましたが、この歴史の流れは今の日本に多大な影響を与えています。
幕末ペリーが日本に来た時に封建制で自由の無かった当時の日本をアメリカは見下しました。
彼らは今の日本を見てどう思うでしょうか。
国の発展途上には、「国の権威&規制」というのは基本的に不可欠です。
独裁主義を完全否定するアメリカ人は独裁的政治から学ぶ点もあります。
実際に江戸時代の日本は、世界史では類を見ないほどの秩序&平和を保ちました。
そして、それから150年後、「世界で最も平和&豊かな国の一つ」とまで言われています。
このように見ても江戸時代の封建制は世界でも最高級の独裁政治だったと言えるでしょう。
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