筆者は現在アメリカに住んでいます。
アメリカ以外では中国や韓国、台湾、香港、フィリピン、タイなどなど、主にアジアの国にも行ったことがありますが、共通して言えるのは「人種差別はどこにでもある」ということかもしれません。
もちろん日本にも人種差別は存在する前提ですが、アメリカで「マイノリティ」として数年生活した上でわかることが「アメリカの人種差別は他の国とは種類が違う」ということかもしれません。
ということで、本記事では筆者の経験談を基に「日本とアメリカの人種差別はどう違うのか」というのを徹底的に解説していきます。
アメリカの人種差別
「これからアメリカに留学したいな」
「今度アメリカに旅行で行くんだ」
「アメリカに就職することになった」
この記事を読んでくださっている方で今度アメリカに行くという人は安心してください。
アメリカにいる人の99%は良い人たちばかりです。
ですがもちろん他の国と同じように人種差別はもちろん存在します。
日本との圧倒的な違いと言えば、日本語と英語では「卑語(ひご)」や「差別用語」の多さが圧倒的に違います。
黒人の差別用語は「Nigger」や「Negro」、中国人への差別用語は「Chink」、ユダヤ人は「Jew」などなど、人種によって様々な「差別用語」が英語には数多く存在します。
もちろん日本語にも他の人種の方に対しての差別用語は存在しますが、そのほとんどが現在では「死語」となっていて日常ではほとんど耳にしない、むしろ「そもそも知らないし聞いたこともない」という人も多いかなと思います。
例えば日本人を特定した差別用語と言えば「Jap(ジャップ)」というのが有名ですが、筆者も昔シカゴの繁華街を歩いていたときに白人3人組に面と向かって「Hey Jap!」と言われたことがあります。
その時は一人だったので真顔で聞こえないふりをしてやり過ごしましたが、アメリカは本当にこんな感じです。
映画やドラマでも平気で使われていたりしますね。
だからといって日常で使って良いわけではありませんが、アメリカに住んでいると嫌でも差別用語や卑語は耳にします。
アメリカと日本の人種差別の違い
ではここからが本記事の本題となるのですが、まずは上記のインタビュー動画の説明から入っていきたいと思います。
こちらのユーチューブ動画は、「日本で生まれ育って、高校生になった時に東日本大震災の影響でアメリカに引っ越した」という境遇を持った黒人女性にインタビューをしたものです。
この方が語る「アメリカと日本での体験談の違い」がとても的を得ていると思ったのでここでシェアーしていきます。
「アメリカよりは日本の方が居心地が良いと思っている」
冒頭はこのように始まり、「日本で生活しているときは人種など気にしたことがなかった」と語っています。
「日本では自分は肌の色が他の子とは違うので、「外国人」という感覚はあったけど、「黒人」や「アフリカ系」というのはあまり意識してこなかった。アメリカに来てからはそれらのことを意識しなければならなくなった」
「アメリカでは自分のアイデンティティがものすごく大事。だから自分が何者なのかを決めなければいけなく、それがとても大変だった」
友達と会話していても、「黒人なのにこの音楽知らないの?とか言われるのがアメリカだ」と言うふうに語っています。
「I saw color, but I never saw race」
そしてこのように言っています。
つまり「日本では”色の違い”はあったけれど、”人種”というのはなかった」という意味ですね。
アメリカにマイノリティとして住んでいる身として言えますが、アメリカでは「人種」というのはものすごく大きなものです。
人種とはなんなのか
アメリカにおいて「人種」とは「アイデンティティ」でもあります。
全人工の98%が日本人国籍である日本とは違い、アメリカは移民の国です。
この国に住んでいる大半の人が違う国の先祖であり、肌の色も違います。
なのでまずは自分自身を知らなければここでは置いてかれます。
逆に言えばみんなして人種、肌の色や民族にこだわりすぎて、それが政治的にも社会的にもアメリカの人種的分断を生んでいるとも言えるかもしれません。
黒人の方々など特にその傾向が強いかもしれませんね。
これは歴史的背景が関係しています。
つまりアメリカにいるアフリカ系の方々はもとをたどれば「奴隷船に乗せられてアメリカに渡ってきた」という歴史があったり、南北戦争、警察官による黒人差別、白人至上主義による残忍な事件など、これらの経緯により黒人の方は「アイデンティティ」を特に重要視します。
動画の女性は「日本でもアメリカの黒人の歴史は勉強した」と言っていて、その当時は「そんな大昔にこんなことがあったんだぁ」程度だったけど、アメリカで同じ内容の歴史を学んだときは「その内容がよりリアルになった」とも語っています。
「2パックとかの音楽やブラックムービー知ってるでしょ?」と友達に聞かれ、「アメリカでは黒人であるということ=これらのことを知っていなければならないんだとアメリカに来たときに初めて学んだ」と言っていますが、まさにアメリカにおいて「人種」というのはこういうことですね。
留学生など「アメリカに行く前には必ず日本の歴史や政治のことを知ってから行ったほうが良い」とよく言われますが、これはあっちで説明しなければならない機会がたくさんあるからです。
知らなければ「君本当に日本人?」とか言われたり、そもそも相手にされなくなります。
実際に筆者もアメリカに来てから自分が日本人・アジア人であるということを日本にいるときよりもはるかに意識するようになりました。
アメリカの生活というのはまさにこんな感じですね。
日本の人種差別
さて、ここまで「アメリカの人種差別」を書いてきましたが、日本にももちろん差別は存在しますね。
ですがアメリカとの大きな違いは、日本の人種差別は「無知や無教養から来るもの」と言えるかもしれません。
例えば「黒人=怖い」というイメージがある人や、言葉の壁があり「そもそも外国人と関わりたくないよ」という人ですね。
日本の人種差別において悪名高い代表例で、アパートの大家さんや飲食店の方で「外国人お断り」というのがよくありますが、これらのものは無教養から来ているものとも言えますね。
アメリカでこれと同じことをすれば大問題になります。
ですが明らかに言えることは、これは特定の人種だからというよりも「外国人だから」という側面が強いのかと思います。
アメリカでは人種の違いで殺人事件やギャング同士の抗争などが起きますが、日本ではないですね。
このへんがアメリカと日本においての人種差別の違いです。
【大前提】アメリカ⇨広いです
最後になりますが、アメリカは広いです。
アメリカは日本の45倍もの広さを誇ります。
それに比例して、地域によっても文化や人種構成において大きな違いはかなりあります。
「アメリカ」と一言で言っても場所によってはかなり違います。
例えばカリフォルニアなんかに行けば白人は全人工の半分以下の割合まで下がり、アジア人の比率がかなり多くなります。
北西部に行けばメキシコ系が多くなり、南部や田舎に行けばほとんどが白人です。
都会では犯罪が横行し、治安の悪い場所も多くなりますが、田舎はのどかでのんびりしています。
その代わりに田舎に行けば日本のような「無知から来る差別」が増えますね。
例えば「アジア人=中国人」と思っている人も多くいます。
こんな感じですが、アメリカは本当に多種多様です。
ですが冒頭でも書きましたが、アメリカにいる99%の人は良い人なのでぜひアメリカに来てみてください。
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