【消費大国】アメリカの返品文化とその歴史

【消費大国】アメリカの返品文化とその歴史

 

洋服、パソコン、お肉、ケーキなどなど、アメリカでは基本的になんでも返品が可能です。

ソースやドレッシングなど開封済みのものまで返品できます。

 

「このピザ思っていたのと違ったから返品して」

 

極端な話ですが、このように一口だけ食べて返品を求める人もアメリカにはいます。

日本では考えられないようなアメリカの「返品文化」ですが、本記事ではその文化と歴史的背景に関して詳しく解説していきます。

 

アメリカの返品文化

 

 

先日ツイッターにてこんなツイートをしましたが、これは本当に事実で、必要なものをその日だけ用意してそれが終わればすぐに返品というふうにしている人も筆者も周りにいます。

賢いのか、ずるいのか、よくわからないところですが、これがまさにアメリカの返品文化を表しているとも言えますね。

 

アメリカのアウトレットモールやショッピングセンターなどに行くと、すでに購入済みの洋服が入った袋とレシートを持った人たちが返品をしてもらうために長蛇の列を作っている光景も珍しくありません。

特にH&MやZARAなどのファストファッション系のお店だとこんな光景はごく日常ですね。

 

 

なので、お店によってはこちらのツイートのコストコのような「返品専用レジ」を設けて対策しているところもあります。

繰り返しますが、アメリカ人にとって返品というのは「ごく日常」のことです。

 

クリスマス後⇨返品の嵐

 

アメリカでは「サンタさん」からもらったプレゼントも「あんまり好きじゃないな」と思えば返品をするのが流儀です。

サンタさんからだけでなく、両親や家族、友人、恋人からもらった物でも好きでなければすぐに返品です。

 

プレゼントをあげた方も「これはあなたの物だから返品しようが使おうがあなたの自由だよ」という人がほとんどです。(全員ではない)

なので、ちょうどこの時期のクリスマス後から2〜3ヶ月の間は返品をする人たちがお店に溢れます。

 

お店側も返品を推奨するようなメルマガやチラシなど送ってくるほどです。

いつから?⇨返品の歴史

 

「お客様は神様」

 

日本では「悪名高い」とも言えるこの決まり文句ですが、まさにアメリカの返品文化はこのような「行き過ぎたサービス」がお店側を苦しめているとも言えます。

この返品サービスは19世紀末に通信販売を行っていた「シアーズ」という人が始めたと言われています。

 

「シアーズ(Sears)」と言えば今では大きな「百貨店」となり今日まで通信販売を行っている大企業です。

当時農業中心だったアメリカではみんな買い物に行くと言えば鉄道や馬車、馬を乗って行かなければ最寄りの都市まで行けませんでした。

 

今では車があるので領土の広いアメリカでも車を飛ばせば一時間もあれば買い物に行けますが、当時はそういうわけにはいきませんね。

そんな社会においてカタログを各家庭に輸送し、一括仕入れで安く商品を提供するサービスを始めたのがシアーズでした。

 

「ダイレクトマーケティング」というものですね。

そこでシアーズは「満足していただけなければ返金いたします」という「満足保証」をすることにより、現物を見なくても消費者は安心して商品を購入することができるようになりました。

 

これが後年ずっと続くアメリカの返品文化の始まりです。

ちなみにですが、シアーズのこのカタログは「消費者の聖書」と呼ばれていて、農村部の家庭においてトイレットペーパーに使われたり、子供の絵本や学習帳の代わりに使われるほど重宝されました。

 

アメリカの大量消費と返品文化

 

さて本記事では「アメリカの返品文化とその歴史」というのを見てきました。

アメリカに住んでいるとこの国には「どれだけ物が溢れかえっているのか」がよくわかります。

 

住宅街を車で運転していれば、まだ使えそうなソファーやベッド、テレビ、家電などがしょっちゅう捨てられています。

食べ放題のレストランに行けば、(食べ放題なのに)食べ物を残すのが当たり前です。

 

お店側もなにも言いません。

この返品に関しても、返品された商品は棚に戻るかと思っている消費者がほとんどですが、一度購入されて開封されているものはコストの関係で基本的には廃棄されてしまいます。

 

もったいないですね。

2020年末にはそのコストは60兆円に達するとも言われています。

 

廃棄の問題で環境にとってもあまり良いものではないですね。

こんなこともあり、近年ではお店側の返品制度も少し厳しくしている企業もあります。

 

今後はもっとこの返品制度が見直されることかと思います。