【貧困ビジネス】アメリカの奨学金制度がおかしすぎる件

【貧困ビジネス】アメリカの奨学金制度がおかしすぎる件

 

当サイト「ミナトのすゝめ」はアメリカの文化、政治、歴史などに特化した情報ブログです。

筆者は現在アメリカに住みながら日本語&英語でウェブサイトを運営しつつ、YouTubeでも英語で日本語を教えたりしてます。

 

ということで、先日ツイッターでこんなことをつぶやきました⇩

 

 

日本でも最近奨学金が返せない人が急増していて社会問題になったりしてますが、アメリカはそんな日本とは比べ物にならないほど深刻です。

本記事ではそんな資本主義の国が生んだ悲惨な「貧困ビジネス」を詳しく解説していきます。

 

アメリカの学費

 

アメリカの大学の学費の高さは異常です。

世界で最も高いと言われていますが、下のOECDが出している「世界の学費ランキング」ではダントツでトップです。

 

 

この額は年々増えています。

 

なんでこんなに高いの?

 

筆者がアメリカの大学に入学した時に、オリエンテーションで「大学内の施設はできる限り活用するように」と念を押されたのを覚えています。

 

つまりジムや図書館、プール、バスケットコート、コンピュータ室などなど、これら大学内の施設が無料なのは学費を払っているからということですね。

逆に言えば学費が高騰しているのはこれが理由です。

 

多くの大学でキャンパス内の施設や寮に多額のお金をかけるのが流行ってます。

たくさんの学生を呼び込むためのマーケティングにもなりますからね。

 

例えばオハイオ州立大学なんかはもはやリゾート地みたいになっているのが現実です。

 

出典:http://www.gundpartnership.com/William-Oxley-Thompson-Memorial-Library-Ohio

 

出典:http://www.gundpartnership.com/William-Oxley-Thompson-Memorial-Library-Ohio

 

出典:http://www.gundpartnership.com/William-Oxley-Thompson-Memorial-Library-Ohio

 

出典:https://radio.wosu.org/post/ohio-state-holds-open-football-practice-amid-urban-meyer-investigation#stream/0

 

アメリカの大学はこのレベルの規模が一般的です。

これを払うのは学生です。学費がどんどん高くなっていって悪循環となっています。

 

国は払わないの?

 

例えば欧州では「国が教育費を負担する」というのはわりと一般的で、実際に多くのヨーロッパの国では公立校の学費は無料です。

ドイツなんかでは欧州以外からの学生や留学生ですら学費は免除、もしくは安く教育を受けられるシステムを取っています。

 

「未来への先行投資」と思えば当然かもしれませんね。

 

ですがアメリカや日本ではそんなことはありません。

私立校は当然、公立や国立(アメリカだと州立)の大学ですら桁外れの学費を払うことになります。

 

年間授業料だけで200万〜300万円払うのが平均的です。

実際に筆者も5年前に初めてアメリカに留学したのがインディアナ州立大学でしたが、年間の授業料だけで200万ほどかかっていました。

 

これに生活費を含めたら4年間で1000万円かるく超えますね。

 

 

奨学金問題

 

ではここから本題である奨学金問題を見ていきましょう。

上でもあるようにアメリカの学費は桁違いです。

 

もちろん大半の学生は払えるはずがないので、何らかの奨学金に申し込みます。

アメリカの良いところは、「返済不要の奨学金」が充実していることですね。

 

これは民間会社や個人が大学に寄付しているもので大半の学生(留学生含む)は、応募さえすれば何らかの援助を受けることができるとも言われてます。

実際に筆者も現在の大学ではありがたいことに奨学金をもらえました。

 

しかしさすがに全額払ってくれるわけではないので、大半はお金を「学生ローン」として借金します。

つまり問題となっているのは「奨学金」ではなく、「学生ローン」ということですね。

 

もちろんですが、このお金は借りているので将来返さなければなりません。

 

どのくらいのお金?

 

現在アメリカには4400万人の学生ローン返済者がいると言われています。

学生が大学卒業までに借りる額は平均で3万7000ドル(約400万円)、学生ローンの総負債額は100兆円以上で、この数字は国全体にあるクレジットカードの負債額を軽く超すとされています。

 

ひどいものですね。

日本でもよく聞かれますが、「借りたお金は返すのが当たり前だろ」という声がアメリカにもあります。

 

問題なのは今日「大学に行くのが当たり前」となっていて、大学を卒業したものですらも卒業後仕事がないという人も中にはいて「教育のインフレ」がおきている状態です。

つまり高い学費がわりに合ってないというのが現状です。

 

誰が得している?

 

この背景には「得をしている人」がいます。

メガバンクと民間の債権回収会社です。

 

通常大人がローンを借りるには手続きをして、「年間の収入がこれだけあるからこれだけの額を貸せますよ」という約束のもとで契約が成立します。

しかし学生ローンというのは仕事もく将来どのくらいの収入を得るのかもまだ定まっていない状態の学生にお金を貸し出します。

 

結果的に銀行はその利息から利益を得ます。

返せなくなった学生に対しては民間の債権回収会社、いわゆる「ローンサービサー」というものが借金の取り立てを行います。

 

ここで債権回収会社も利益を得ます。

彼らからしてみれば、学生が払えなくなった場合の方が利益が出ます。

 

払える保証もない人間にお金を貸し出して、延滞金を支払わせ取り立てる「サラ金」とやっていることが似てますね。

 

行き過ぎた資本主義がこのような問題を生んでいます。

 

「アメリカの行き過ぎた資本主義」ということですが、以下の記事でも「教育現場」においての資本主義の問題について解説しています⇩