こんにちは。当ブログ「ミナトのすゝめ」では主にアメリカの文化・歴史や留学に関して数多くの記事を量産していますが、本記事ではヨーロッパ・イギリスのEU離脱に関して詳しく解説していきます。
「EU」や「ヨーロッパ」と聞くと日本とはあまり関係のないことかと思う人も多いかと思います。
地理的にアジアとは離れていることなので当然と言えば当然かもしれませんね。
しかしEUの歴史を見ると日本も少なからず関係していて、むしろ「人類」においてとても大切な課題でもあります。
ということで、ここからイギリスのEU離脱問題に関して歴史から詳しく掘り下げていこうと思います。
イギリスのEU離脱とは?
昨今ニュースを見ていると「イギリスのEU離脱」や「ブレキジット(Brexit)」という言葉をよく耳にしますね。
「結局なんのことなの?」という方も多いと思います。
「EU」とはつまり日本語で「欧州連合(European Union)」のことで、現在ヨーロッパの国々28カ国が加盟しています。
「加盟国同士仲良くしようね」というのがこの連合の趣旨になります。
なので、EUの国同士において「ユーロ」という共通の通貨を使用し、加盟国同士であれば国境を越えるのに「パスポート不要」ということをやっています。
世界史で「ヨーロッパ史」を学んだ方ならわかるかと思いますが、ヨーロッパの歴史は戦争・紛争・差別の繰り返しでした。
日本とは違い、陸続きで国境を接した国がたくさんあるという関係から、戦争が耐えなかったという歴史があります。
そんな国同士が1990年代になって初めて「もうこれからは仲良く協力していこう」ということで、連合を作ったというのが始まりです。
すごいですね。
「ヨーロッパの歴史」と聞くと「ローマ帝国」とか「ナポレオン」を思い浮かべる人も多いかと思いますが、ヨーロッパにおいて戦争がなくなったのは本当につい最近、EU発足(1993年)からの話です。
しかしそれが「イギリスの離脱」によって今崩れ去ろうとしているのが昨今の問題です。
「そもそもなんでEUなんていうのを作ったの?」
このような疑問に関して、ここからは実際に歴史を見ていきながら解説していきます。
2つの世界大戦
第一次世界大戦(1914年〜1919年)と第二次世界大戦(1939年〜1945年)ではヨーロッパ全土が戦場となりました。
この2つの戦争において、ヨーロッパではどの国も多大な被害をだしました。
この2つの世界大戦を見ていくと、両方共にドイツがキーワードになっていきます。
EU⇨ドイツを監視するため
第一次世界大戦は「サラエボ事件」という、オーストリアの皇太子がセルビア人に殺害されるという事件から始まりました。
この時ドイツはオーストリアの同盟国として真っ先に戦争に参加します。
そこから周りの国が次々と同盟国に加担し始めます。
争いを大きくしたのは、他でもないドイツだったということですね。
しかしドイツはこの時、オーストリアとともに敗戦してしまいます。
第一次世界大戦で敗戦国となったドイツは戦後、賠償金&復興などでかなり厳しい状況になっていきます。
そんな状況の中現れたのが「ヒトラー」という独裁者でした。
1930年代になりヒトラー率いるナチス・ドイツは日本&イタリアと同盟を組み、ポーランドに侵攻し第二次世界大戦が始まります。
最終的にイギリス、フランス、アメリカなどの連合国が勝利しドイツはまたもや敗戦国となったわけですが、この時にヨーロッパの国々は「もう二度とこんな戦争はしない」と誓ったわけですね。
「二度と同じような戦争を繰り返さないためにはドイツを抑え込んでおく必要がある」
それもそうですね。
どちらもドイツから始まった戦争だったので、ヨーロッパの国々はわりとうんざりしています。
二度の世界大戦を経て「もう二度とヒトラーのような独裁者は生まないよ」ということで一致団結するようになります。
冷戦時代
「第二次世界大戦が終わってようやくヨーロッパも平和になったんだね」
こんなふうに思うかもしれませんが、そうでもありませんでした。
繰り返しますが、ヨーロッパにおいて戦争・争いがなくなったのはつい最近の話です。
第二次世界大戦が終わって、ヨーロッパは東と西で別れます。
「東側諸国(ソ連・共産主義)」と「西側諸国(アメリカ・資本主義)」ですね。
冷戦に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので、本記事の後にでもおすすめです⇩
出典:鉄のカーテン
これが冷戦当時の東側諸国と西側諸国の分断線ですが、これを「鉄のカーテン」とも呼びます。
ドイツの東と西を境にヨーロッパはまたもや分断してしまいました。
ソ連崩壊⇨紛争
ソ連の行き過ぎた情報統制、軍事費が膨れ上がり経済が停滞していたこと、こんなことから1989年には東欧諸国の国で革命が次々に起こります。
その年の11月に「冷戦の象徴」でもあった東ドイツと西ドイツを分断する「ベルリンの壁」が市民によって崩壊させられ、1991年にソ連が崩壊します。
「これでようやく平和になったんだね」
こう思いきやそうでもありませんでした。
ヨーロッパではさらなる悲惨な歴史が待っていました。
それが「ユーゴスラビア紛争」というものでした。
ユーゴスラビアというのは、スロベニア、クロアチア、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニアという6つの共和国からなる国でした。
民族も多く、多言語、多宗教ということで、非常に複雑な国家だったのですが、これがソ連の崩壊と「チトー」という絶対的リーダーが死んだことにより、バラバラになり紛争が始まります。
この紛争はヨーロッパ近現代史の中でも「最も悲惨な紛争の一つ」と言われるくらいものすごい被害を出しました。
このようにヨーロッパは民族、宗教、言語、文化、様々なものが入り混じり、差別や紛争、侵略、戦争がずっと続いてきたという歴史があります。
こんなことで、「これをどうにかしようよ」ということでできたのが「EU」でした。
現在のEU
現在EUに加盟している国は全部で28カ国です。
話を戻しますが、これで現在問題になっているのが「イギリスのEU離脱」ということですね。
ここから「イギリスがEUを離脱する理由」というのを詳しく見ていきましょう。
①ギリシャ危機
一見素晴らしいように見える「EU」という制度も落とし穴がありました。
そのEUの落とし穴にみんなが気付くのが最近起きた「ギリシャ危機」というものですね。
本記事の冒頭にも書きましたが、EU加盟国の中で自国の通貨を使っているのはイギリス(ポンド)だけで、その他の国々は通貨を「ユーロ」で統一しています。
「落とし穴」というのは、国の通貨を統一することによって自国の経済が停滞している時に「金融政策」ができなくなってしまうということです。
みんなで同じお金を使っている時に自分の国のためだけにその通貨の価値を上げたり、下げたりする「金融政策」が封じられてしまうわけですね。
「ギリシャの経済がヤバイらしい」⇨「そう言えばギリシャのお金ってユーロじゃん」⇨「金融政策できないらしい」
このようになり、もし自分たちの国でギリシャのようなことになったら金融政策ができないという不安が一気におとずれました。
このことからEUにおいての不信感が次第に高まってきます。
②難民問題
もう一つEUの「落とし穴」となったのが、「難民」でした。
こちらも本記事の冒頭に書きましたが、EU諸国の移動にはビザどころかパスポートの審査など入国時には必要ありません。
つまり外国にも関わらず自由に移動ができるということですね。
これにより便利になった反面、逆を言えば外国人でも国家間の移動は「フリーパス」になります。
そこで問題になっているのが、「アラブの春」によって中東からヨーロッパに溢れ出した難民です。
「アラブの春」とは2011年頃から北アフリカや中東で本格化した民主化運動のことを言いますが、これによって情勢が不安定になった国から難民の方々がヨーロッパに向かいます。
彼らの目的地はずばりドイツでした。
というのも、ドイツではナチス・ドイツの一件以降難民を含む外国人には非常に寛大な対応、奉仕をしています。
このことから、「ドイツに行けば救われる」と考えた難民の方々がこぞってドイツに入国し始めます。
これにより現在ヨーロッパは大混乱に陥っているという状態です。
EUどうなるの?
かなり深刻です。
「イギリスがEU離脱したらなにか変わるの?」
こんな疑問もあるかと思いますが、イギリスがEUから抜ければEUにおいて最も力を持つのはどの国になるのでしょうか。
それはドイツですね。
第二次世界大戦後日本と同じように復興・発展を遂げたドイツですが、今やヨーロッパ一の経済大国の一つでもあります。
イギリスが抜ければそんなドイツの独壇場になりかねません。
もともとは「ドイツを監視するため」に発足したEUだったわけですが、一周回ってドイツに力をもたせることになってしまうわけですね。
「でもドイツももう反省してるし大丈夫なんじゃないの?」と思う方もいるかと思いますが、これがいつまで続くかもわかりません。
実際に行き過ぎた難民の受け入れによって国民の不満が溜まっているのも事実でもあります。
国民の不満が溜まってそれをうまく利用して政権を握ったのがヒトラーだったので、他のヨーロッパ諸国はそのトラウマがあります。
実際にイギリスのEU離脱というのは「自国第一主義」がもたらしたものでもあり、現在アメリカの「トランプ大統領」も同じように「反(不法)移民政策」を貫いています。
「歴史は繰り返す」というのはまさにそのとおりなのかもしれませんね。
イギリスがユーロを導入せずポンドだったから、フランスやドイツより経済が安定しているのも関係していますね。
ヨーロッパは紀元前から戦争を繰り返していますが、インドとパキスタン、中東諸国も同様です。
そう思うと、日中韓の仲の悪さは可愛く思えてきます。日中韓の仲の悪さは国、政治家、ネットの歪み合いくらいで、民間交流は良好です。
また、日本の左翼は「日本は右傾化し最悪中韓と武力衝突する」と騒いでますが、到底考えられず、むしろ諸外国にドン引きされ嘲笑されるでしょう。
因みに「隣国同士は仲良くしよう」が通じるのは日本だけで、海外では全く通じません。
また、韓国とアイルランドは非常に似ています。
理由➀隣国の島国に属国化された
理由➁貧しい北部と豊かな南部に分断した
理由➂酒飲みが多く、踊りが好き
アイルランドを南アイルランドと呼ぶのはタブー(北アイルランドがイギリスの領土)ですが、韓国を南朝鮮と呼んではいけないのは少し疑問を抱きます。なぜなら、北朝鮮や1960〜70年代の日本は南朝鮮と呼び、英語でもSouth Koreaと呼び、韓国と呼ぶのは日本、中国、台湾(或いは南韓)くらいです。
コメントありがとうございます!
そうですね。
隣国同士仲がいい国と言えばすぐに出てくるのはアメリカとカナダくらいでしょうか。
あそこは文化も言語も同じなので当然と言えば当然ですが、世界には隣国同士仲の悪い国のほうが圧倒的に多いですね。
「アイルランドを南アイルランドと呼ぶのはタブー」というのは知りませんでした。
とても勉強になります!
「朝鮮」というのはそもそも「朝鮮半島」から来ているもので、地理的な関係から「南朝鮮」と呼んでもいいような気もしますが、戦前・戦中の歴史から韓国の方々は日本人に「朝鮮」や「朝鮮人」と呼ばれるのはあまり嬉しくないみたいですね。
それも現代になってからの映画などメディアの影響が大きいのでしょうが、そのへんは難しいところですね。
今後ともよろしくお願いします!
ミナトのすゝめ