「日本の自殺率が高い」
これは有名な話ではありますが、実は日本人の自殺者は減少傾向にあるのも事実です。
一方アメリカではここ数年自殺者の数が急増しています。
特に10代から20代の働き盛りの世代ですね。
これはなぜなのでしょうか。
これを紐解くと、アメリカが現在抱えている闇、社会問題、日本との文化の違いなどが見えてきます。
ということで、本記事では「アメリカで自殺率が急増している5つの理由」ということで、わかりやすく解説していきます。
参考:https://forbesjapan.com/articles/detail/31177
アメリカの自殺率
ではそもそも「アメリカの自殺率ってどのくらいなの?」という疑問ですが、結構高めです。
「他殺よりも自殺で命を落とす人が多い」という統計結果もあります。
こちらの表は人口10万人あたりの自殺率を各国ごとに比較したものです。
出典:https://www.statista.com/chart/15390/global-suicide-rates/
アメリカの自殺率は日本よりも高いということになっています。
増加率に関しても、2007年から2017年の10年間で24%も上昇しています。
出典:https://www.apa.org/monitor/2019/03/trends-suicide
特に10歳から24歳の青年層の自殺率にいたっては56%も上がったという報告が出されていて、減少傾向にある日本とは対照的ですね。
しかし世界から見ると、日本は未だに「自殺大国」という悪名、ステレオタイプがあるのが現実です。
一枚目の表でもわかりますが、自殺率に関して、アメリカや韓国、ロシアなどがかなり高い傾向にあるのにも関わらずです。
それは1950年代~60年代あたりまで、自殺率で日本は世界を圧倒していたからですね。
こちらの動画では年代ごとの自殺率の推移をビジュアルで分かりやすく解説しています。
結論から言うと、日本の自殺率は減少傾向、アメリカの自殺率は増加傾向にあります。
さて、ここからはその要因を詳しく見ていきましょう。
①SNS
「SNSの普及で自殺者が増えた」というのも、少し強引な気もしますが、一つの要因としてとらえることができます。
ツイッター、フェイスブック、インスタグラム・・・どれもアメリカ発のモノであり、アメリカ人はこれらのソーシャルメディアが大好きです。
筆者が一番最初にアメリカに来た時に、アメリカ人のインスタグラムアカウントの保有率に驚きましたね。
日本ではSNSがそこまで普及していない頃でも、60代くらいのおじいちゃんがインスタに写真をアップしていました。
そんなレベルです。
こんなこともあり、アメリカの若者はほぼ100%くらいの確率で何らかのソーシャルメディアアカウントを持っています。
大人もやっているので、「SNS=危険だから子供にはやらせない」という概念が薄いです。
SNSをやったことのある方ならわかるかもしれませんが、あれ正直疲れます。
キラキラした写真、リア充、政治イデオロギー、非難やバッシング、プライバシー・・・これらと共にやっていかなければなりません。
これがさらに競争社会を生み出しているとも言えます。
実際にSNS利用者が最も多い若者の間で自殺率が倍増しているのも説明がつきますね。
②社会的孤立
SNSに相まって、「社会的孤立」という理由もあります。
日本でもそうですが、アメリカでも「核家族」や「一人暮らし」が増え、本来「家族みんなで暮らす」という文化であったアメリカも変わりつつあります。
人種でいえば、特に白人の方々は大学を出て、都会に就職⇨一人暮らしというパターンが多くあります。
いわゆるホワイトカラー(サラリーマンなど)ですね。
田舎などではヒスパニック系などが農業を担い、都会では白人がオフィスワーク、結果として白人の自殺者が増えるといった具合になっています。
白人の自殺者が多いのもこのためです。
③カジノ
日本も他人事にはできない問題がこれです。
カジノで破産する人もアメリカには多くいます。
実際に少し前までは、アメリカで最も自殺者が多かったのはカジノが完全合法であるネバダ州でした。
さすがのネバダ州も対策を取り、現在ではそんな状況も打破しましたが、カジノによる経済的な破綻⇨自殺につながる、というのは明らかでもあります。
アメリカには「インディアン居留地」というテリトリーがアメリカのいたるところに存在します。
それは何かというと、「ネイティブアメリカン」の方々のテリトリーです。
そこだけはアメリカ政府の憲法や法律も通じず、彼ら独自のルールなどがあります。(例外アリ)
そんなこともあり、インディアン居留地で定番となっているのがカジノ経営です。
筆者もカジノをするためだけに車を数時間飛ばしてインディアン居留地に遊びに行ったことが何度もありますが、アメリカで本格的なカジノが楽しめる場所でもあります。
そんな感じなのですが、インディアン居留地に住むネイティブアメリカンの方々の自殺率が他と比べ高いという統計があります。
それこそお酒におぼれ、カジノにハマって生活できなくなるという人も多いのです。
そういった方々の生活保護や救済には、アメリカ市民の税金も使われています。
「アメリカの法律では裁けないけれど、生活の保護はアメリカ市民の税金で」というのも皮肉な話ですね。
アメリカ国内では、この「インディアン居留地」のシステムが賛否両論でもあります。
④失業
カジノに続き、失業も自殺率に関連していきます。
日本では終身雇用制度を代表とするいわゆる「社畜文化」みたいなものがあって自殺率が高いというのは有名な話
でもアメリカのような学歴社会、実力社会では失業したタイミングで自殺する人が多い。日本とは真逆。
だから今回のコロナみたいな不況では、失業⇨自殺というケースが増える。
— マサヤ🇺🇸自宅で就活中 (@masaya_minato) May 22, 2020
まさにこちらのツイートにある通りです。
アメリカは超がつくほどの「学歴社会」「実力社会」です。
日本のようないわゆる「新卒カード」が使えず、会社に入社すれば即戦力としての働き方を求められます。
したがって、日本みたいなキッチリとした「新卒育成制度」や「研修制度」などは基本的にはありません。
そんな社会において、大学卒業後すぐに働くという状況はかなり厳しいですね。
できなければ、「明日から来なくていいよ」と本気で言われます。
つまりそういった失業により自殺する人が多いということですね。
余談ですが、こんなこともあり、アメリカの大学生はボランティアやインターンシップを通じて学生の内から実務経験をつけようと必死です。
⑤離婚
そして最後になりますが、離婚率もアメリカの自殺率を高める要因と考えられます。
アメリカの離婚率は先進国ではトップクラスに高いことで知られていますが、その割合は約50%で「結婚しても半分が離婚する」とまで言われています。
②でご紹介した「社会的孤立」と双立しますね。
中年夫婦が離婚した結果、その後パートナーが見つけられず、「社会的孤立」により自殺する・・・こんなケースも多くあります。
ということで、本記事ではこのへんになります。
これに関連して、以下の記事では「アメリカの離婚率が高い理由」ということで詳しく解説しています⇩
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