こんにちは。当ブログではアメリカの文化や歴史、生活情報など幅広い分野を発信しています。
ということで、先日ツイッターにてこんなことをつぶやきました⇩
アメリカにはなぜ不法移民が多いのか?
この国の移民システム自体に問題があるから。そもそも普通の手続きでこの国に永久に住もうと思ったらほぼ無理ゲー。
だったらとりあえず不法に住んでみて、そこから無理にでも移民していくという道を取る。
つまり正直者は残れないシステム。
— マサヤ🇺🇸自宅で就活中 (@masaya_minato) June 11, 2020
こういった感じです。
アメリカには1200万人近くの人が「不法」に住んでいると言われています。
こういった方々が現地の職を奪ってしまったり、税金が使われていたりという現実があります。
この問題を打開しようとトランプ氏が声を上げ、見事に大統領に選ばれたわけですが、そもそもなぜ彼らは「不法」なのでしょうか。
「正式な手続きを取って移民すればいいじゃん」
アメリカの一般市民や日本人の方々はこう言います。
これはアメリカの移民制度を知らないから言えることですね。
というのも、この国のシステムではそれがかなり難しくなっているのが現実です。
本記事ではそのへんを詳しく解説していきます。
アメリカの移民問題
アメリカは移民の国です。
世界一の経済大国であるアメリカを支えているのは移民ですね。
不法移民が多い理由①
今現在アメリカ国内にいる人たちも以前は自分自身、または先祖が移民だったのですが、現在では移民が最も多いのは中南米からとなっています。
大陸で地続きになっている、特にメキシコに関しては国境を接しているので、みなさん徒歩でアメリカに渡ってきます。
なぜでしょうか。
賃金の問題です。
中南米の国々とアメリカの経済力は圧倒的なものです。
メキシコの賃金とアメリカの賃金では10倍以上違います。
同じ時間の労働で10倍以上ものお金がもらえるのならリスクを冒してでも国境を越えた場所で働きたいですね。
そういった理由からアメリカには大量の不法移民が渡ってきます。
不法移民が多い理由②
中南米諸国からの不法移民が多い理由はもう一つあります。
上記で紹介した理由では、「お金をもっと稼ぎたい」「稼がないといけない」という人が来るのですが、そのほかにもシンプルに「生き延びるため」にアメリカに渡ってくる人も少なからずいます。
それは国内の政治状況であったり、経済的状況が厳しいからアメリカに渡ろうという人たちですね。
例えば、エルサルバドル、ホンジュラス、グアテマラなど、この辺の国々は「世界で最も危険」と呼ばれているほどです。
最近経済破綻したベネズエラもそうですが、そういった国々から大量の難民が北米に流れでいるのも事実です。
なぜ彼らは移民申請しないのか
さて、ここからが本記事の本題でもあります。
冒頭のツイートにもありましたが、単純に「正直者はバカを見る」からに他なりません。
Why Don’t Immigrants Apply for Citizenship?
「なぜ移民は市民権を申請しないのか?」というこちらの記事では、様々な理由が提示されています。
例えば、VISAなしでアメリカに入国した場合、出国してしまうとアウトなのです。
逆に、不法に入国した場合も、VISAの申請が不可能になっているので、「じゃあ申請もせずこのままこの国に滞在するよ」という人が現れてきます。
子供をアメリカ人にする人
昔筆者が日本でヒッチハイクをしたとき、島根県でお金持ちのご夫婦に乗せてもらいました。
そのご夫婦は3人お子さんがいたのですが、「3人ともハワイで産んだ」と言っていました。
というのも、アメリカの現在のシステムではアメリカ国内で子供を産めば自動的にその子供は「アメリカ人」ということになるからです。
両親が日本人でも関係ありません。
なので、こちらご夫婦のお子さんは三人とも「将来アメリカ人にも日本人にもなれる」ということになります。
つまりそういうことです。
アメリカに不法滞在している人たちは、子供を産んで、子供をアメリカ人にし、その子供が成人した時に、家族もアメリカ人にするよう申請をし、不法に何十年も住んだ結果、正式にアメリカ人になれるということです。
何十年も不法に滞在していればいつかチャンスが巡ってくるという感じです。
筆者の周りにもこれでアメリカ市民権を取った友達は結構います。
中国人の人たちですが、彼らはそのへん詳しいです。
不法移民をかくまう場所
出典:Center for Immigration Studies
アメリカ国内には「聖域(Sanctuary City)」と呼ばれる場所が至る所にあります。
つまり不法移民をかくまう場所です。
仕事もないし、安全に住める場所も、国すらもないという人はこの場所で生活をします。
つまり不法移民のみの生活場所です。
「不法滞在であっても基本的人権を尊重すべきだ」ということで、強制送還はせず、ここで保護します。
微笑ましい優しい制度ですが、これには一般市民の税金が使われているのも現実です。
市民同様の公共サービスはもちろん、医療保険、食料補助、住宅補助、児童福祉、教育補助、職業訓練なども含まれます。
ここまで手厚くするのはいいですが、これに対して「なんで私たちの血税が!!」と黙っていない人も多くいます。
そもそも厳しすぎる
「どうしてもアメリカで働きたい」
「どうしてもアメリカに住みたい」
こんな人たちも多いはずです。
しかし現行のアメリカの制度では、アメリカの市民権、労働ビザを取得するのは非常に難しくなっています。
例えば就労ビザに関して、「H1Bビザ」というタイプのビザを取得して、アメリカで数年働ける権利が得られます。
しかし、これを取得するにはまず企業から「君が欲しい」と言われ、そこから「スポンサー」をしてもらわないといけません。
このスポンサーに関して、つまり「VISA申請に必要な書類作成やお金」、さらには「移民弁護士費用」なども必要になってきます。
それだけしても必要な人材ということを認めさせなければなりません。
さらに言えば、VISA申請をしても申請者が多くて定員割れするので、そこからさらに「抽選」という形で決めます。
この抽選は大体3割程度の確率と言われているので、企業にとってはこれほどまでにない「利益率の低い投資」ですね。
相当なスキルがないとスポンサーをしてくれません。
だったらアメリカ人を取るよ、ということになります。
つまりこれがアメリカ労働ビザの現実です。
ということで、本日は「なぜアメリカには不法移民が多いのか」という謎を解いてきました。
「経済的、政治的な困難から逃れるためにアメリカに渡ってきた」
こんな人が多くいるのが現実です。
しかし、中南米から麻薬や銃など密輸していたり、不法移民がアメリカ国内で詐欺集団として活動しているのも事実です。
この問題はこれからどんどんアメリカを蝕んでいくのかなと思います。
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