当サイト「ミナトのすゝめ」ではアメリカの文化や歴史をはじめ、留学に関して役立つ記事も度々書いています。
ということもあり、先日このようなツイートさせていただきました⇩
日本⇨大したことない怪我や病気でも救急車を呼ぶ人がいて社会問題となっている
アメリカ⇨本当に死にそうな状態でも金銭的に救急車を呼ぶことができず、タクシーで病院に行く人がいて問題になってる
アメリカで救急車を呼ぶのは高級リムジンに乗るより高額です https://t.co/RfIPQZdpdM
— マサヤ🇺🇸ミナトのすゝめ (@masaya_minato) March 20, 2019
このアメリカの医療費の問題がツイッターでも話題になっていましたが、これはアメリカ国内でもかなり問題になっているのが現実です。
実際にアメリカ留学や旅行、仕事の関係で赴任をする場合には保険は必須です。
アメリカでは医療費が圧倒的に高いので、万が一病院で治療を受けた場合には破産するからです。
中には保険に加入していても「払えない」なんていうケースもあるくらいです。
アメリカでは当然この医療制度が「社会問題」として認識されていますが、この医療費が高い理由とはなんでしょうか。
本記事ではアメリカの医療制度について、高い理由とともに詳しく解説しています。
日本とアメリカの保険制度の違い
日本では「国民皆保険制度」というものがあり、日本国民全員が保険に加入しなければいけません。
「みんなで医療費を出し合おう」という考えで、いざという時の医療費を国が負担してくれます。(7割ほど)
したがって、会社に勤めている人は「社会保険」に半自動的に加入しており、毎月の給料から差し引かれているあれのことですね。
ではアメリカではどういう制度になっているのでしょうか。
アメリカの保険制度
一方でアメリカでは保険加入の義務はありません。
日本のように「加入しなければいけない」というわけでなく、個人が民間の保険に加入するかしないかを決めることが出来ます。
なので入らなくてもOKです。
まさに「自己責任だよ」ということですね。
アメリカ人の一般的な保険加入方法
- 勤務先の会社が毎月の給料からいくらかを差し引いていて、いざという時は会社が負担する
- 勤務先の会社が提携している保険会社を利用する
- 個人で民間の保険会社を利用する
しかしこれらの民間保険もかなり高額です。
特に持病を持っている方は保険を受けられなかったり、一般よりも高い額の保険料を課されてしまうこともあります。
実際にアメリカ国民の約6人に1人は保険に加入しておらず、病気になっても「治療を受けられない」という人がいるのが現実です。
ここような問題があり、前大統領のオバマ氏はある改革に乗り出します。
「オバマケア」について
前大統領のオバマ氏の公約の一つで最も有名なのがこの「オバマケア」です。
オバマケアとはつまり、「医療保険制度の改革」のことを言います。
2010年に成立した法律・Affordable Care Act (ACA) を通称「オバマケア」と呼んでいます。
「もっと保険料を安くして低所得者の方も保険に加入できるようにしましょう」
「保険会社はどんな人にも(思い病気を持ってる人でも)差別なく保険の加入をさせてあげるように」
「そのかわり保険に入らなかった人は確定申告の時に罰金ね」
このようなものです。
これは日本の国民健康保険(上記参照)のようなものではなく、あくまで自分の意思での加入ということになっています。
ちなみにですが、現在トランプ大統領になってから、このオバマケアの見直しがされています。
というのもオバマケアでは「保険料を安くする」とあるけれど、この高額な医療費を支払うのは国ということになります。
「そんなことしたら法外なコストがかかる」
「持病を持っている人が加入してきたら全体の保険料が上がってしまう」
「罰金を取られるなんて、選択の自由を奪っている」
というように、トランプ大統領はオバマケアを全否定しています。
全ては高額な医療費のせい
上記のような問題はすべて法外な医療費からくる問題です。
冒頭でも書いたようにアメリカでは救急車を呼んで病院に運ばれるだけで数日後に数十万の請求が来ます。
日本では「風邪を引いただけで救急車を利用する人」が社会問題になっていたりもしますが、アメリカでは病気で倒れても意地でも救急車は呼ばず、タクシーで病院に行く人もいるくらい日本とアメリカでは異なります。
民間の保険に加入していても払うのがきついほどの高額な医療費はなぜでしょう?
ここからはその理由について見ていきます。
各医療機関が自由に値段設定ができる
結論から言いますとこれが最大の理由です。
日本には病気の種類や受ける治療により、どのくらいの料金を請求するのかを国が定めています。
しかしアメリカではそのような公定価格はなく、病院側が自由に値段設定をしています。
つまり医療も「ビジネス」になってしまっているわけですね。
アメリカの医師はかなり高給
実際にアメリカの医師の給料は他の国に比べ圧倒的に高いです。
先進国ではおよそ870万〜1600万円ほどが総合系医師の年間給与の相場ですが、アメリカの医師の給与は約2200万円です。
つまり、アメリカ人医師の給与はほぼ倍ということになっています。
なんでそんなに高く設定するの?
医師の方々も必死です。
医療費を高く設定するには理由があります。
①教育機関のビジネス化
すべてはここが原点になってきます。
当ブログでも度々お伝えしていますが、アメリカの大学の学費は世界トップの高さを誇ります。
これは教育機関も医療機関と同じように「ビジネス化」しているからです。
特に米大学の医学部に関しては超高額なので、「高い教育を経て医師になったのは良いけれど莫大な借金が…」ということになり、必然的に高い給料ではないとやっていけないという事態が起こっています。
②アメリカは訴訟社会
アメリカでは頻繁に人を訴えます。
日本とは比べ物にならないくらい「裁判へのハードル」が低いです。
例えば、交通違反を犯しても「そんなにスピード出してなかったよ」と思えば裁判所まで行って戦います。
これが医療の現場でも問題になっているのが現実です。
医療ミスなどで万が一のことがあっても戦えるように「弁護士費用」として医療費を高く取っているということもあります。
さらに、医師側は訴訟が怖いので、さらに過剰なサービス・治療を施します。
結果的に高額な医療費に繋がってしまうという悪循環です。
③研究のための莫大な投資
アメリカの医療技術は世界でもトップクラスを誇ります。
それは同時に医療機関による莫大な負担(研究のための投資)によるものです。
新しい治療の技術や医薬開発のための研究費用のツケが個人の医療費の負担にも繋がっています。
その上、その最新技術・高価な治療を比較的早い段階で一般の患者に施すので、「さらに高い治療費が患者に周ってくる」ということも事実です。
アメリカでは保険は必須
何度も言うようですが、アメリカに行く際には必ず保険は入っておきましょう。
万が一事故に遭った場合何千万の請求が来ることもあります。
さらに保険に加入していても歯医者は保険の範囲外ということが多いので、長期滞在をされる方は渡航前に歯の治療をしていくと良いかと思います。
※虫歯の治療だけで数十万かかります。
備えあれば憂いなしということですね。
コメントを書く