現在アメリカの大学に通っている方、「これからアメリカに留学してみたいな」という方、「アメリカで働きたいな」という方、様々だと思います。
アメリカの大学を卒業すればアメリカで働ける権利をもらうことができます。
それを「Optional Practical Training」、略して「OPT」とよく呼ばれます。
「OPTってなに?」
「大学卒業後アメリカで働くにはどうすればいいの?」
本記事ではこういった疑問にわかりやすくお答えしていきます。
OPTとは?
上では「アメリカで働ける権利をもらえる」と書きましたが、アメリカに留学する場合、留学生は働けません。
アメリカに留学する人は誰もがまず最初に口酸っぱく言われることかもしれませんが、留学生は働いてはいけないんですね。(キャンパス内で18時間以内ならOK)
学費が圧倒的に高いアメリカの大学に通うなかで、仕事ができないとなるとかなりしんどいですが、ここがアメリカに留学する上で最大のデメリットかもしれませんね。
さて、つまり「OPT」というのは、留学生が大学を卒業してから「一年間は働いていいよ」という制度のことです。
OPTのあとは?
「一年間は働いてもいいよ」という制度なので、「一年経ったらどうなるの?」という疑問もありますね。
一年間働いたら約束通りアメリカから出ていかないといけません。
「大学を卒業しても一年しか働かしてくれないのか…」と思う人も多いかもしれませんね。
アメリカにおいての就業はめちゃくちゃ厳しいのが現実です。
H1Bビザをもらえれば働ける!
「一年間働いたら約束通りアメリカから出ていかないといけない」
上ではこのように書きました。
実質的にはそうなのですが、勤めている企業が「残ってくれ」と言えばそのあとも継続して働くことができます。
「残ってくれ」と言われるためにはよっぽど仕事のできる人でなければいけません。
特にですが、この場合には学生ビザではなく「H1Bビザ」というのに申請をすることになります。
このH1Bビザというのがかなり難関で、取得にかなり難しくなっています。
申請費、弁護士費用などもろもろ含め、日本円にして100万円近くかかります。
これは個人が出すのではなく、会社に出してもらうことになるのですが、それだけの費用をかけてまで「欲しい人材なんだ」ということを会社に認めさせなければなりません。
残念ながら、4年制大学を卒業したばかりの未経験の新卒だと不可能に近いです。
「本当にアメリカで働きたい」という方は、日本の高校、または大学を卒業後、5年から10年ほど実務経験を得て、そのあとに大学やワーキングホリデーなんかを通して就労を目指すのも現実的な道筋かもしれません。
「H1Bビザ取得=抽選」という謎
H1Bビザ(就労ビザ)に関して、上記でさらっとご紹介しましたが、このビザ取得の難易度をさらに高くしているのが、この抽選制度です。
というのも、最終的には「応募者の中から抽選を行う」という制度になっています。
抽選率は3分の1から4分の1、今後はこの割合がさらに厳しくなってくるとも言われています。
もはや抽選なので、企業や個人がどうにかできるものではありませんね。
つまり大金を払ってビザを申請しても、3分の1の確率でしか成功しないという、かなり投資率の低いギャンブルになっています。
OPTの現実
さて、ここからOPTに関して詳しく解説していきます。
アメリカの大学に通う留学生は卒業間近になると、OPT説明会などを大学で受けることができます。
これはおそらくほとんどの大学で共通だとは思いますが、インターナショナルオフィスの担当者から説明を受けると思います。
そこで、卒業からOPT就業までの過程を教えてくれます。
この時点で学生がまずやらなければならないことは、「仕事探し」です。
つまり就職活動ですね。
仕事の探し方
さて就職活動になりますが、「将来アメリカで働き続けたいし、できればH1Bビザのスポンサーをしてもらいたいな」と思う方なら、「スポンサーOK」の企業を中心に探していって応募していきましょう。
とりあえずはIndeedで探してみるのが良いかもしれません。
アメリカで仕事を見つけること自体は簡単です。
しかし、自分がやりたいことと一致している仕事、将来性のある仕事を見つけるのは至難の業です。
例えば、「とりあえずアメリカで働きたい!」と言って、アマゾンなどの工場でピッキング作業などの仕事をやることもできます。
しかしそういった「誰でもできるような仕事」であれば、一年後に「使い捨て」されるのがお決まりで、日本に帰った時「アメリカで働いたことがある」というだけでなんのスキルも身に付きませんでした、ということになってしまいます。
それは避けていきたいですよね。
良質な企業、お仕事、将来性のあるポジションを見つけましょう。
アメリカ就業に特化したエージェントを利用してみるのもアリかもしれません。
仕事を見つけたら
仕事が決まればやることはほぼ終わりです。
「OPTカード」というものを移民局に申請しましょう。
期間内であれば、仕事が決まる前に申請可能ですが、申請費用は日本円にして4万円ほどなので、仕事がなかった場合を考えて念のために内定後に申請するのが良いかもしれません。
OPTの闇(実話)
さて、ここからはOPTの闇をご紹介していきます。
これは筆者の知り合いが実際に経験したことを基に書いています。
アメリカの4年制大学をファイナンス専攻で卒業した子で、この子は卒業して、すぐにOPTをするため「スポンサーをしてくれる企業」を探していました。
ベトナム人なので、「ベトナム語を話せる人材募集中」のような企業を片っ端から応募していった結果、一つの企業から声がかかり、晴れて入社が決定します。
違う州にある企業だったので、飛行機で向かいました。
家は会社が用意してくれた社宅、出退勤のための送り向かい付き、という最高の条件のようでしたが、実際の仕事内容は彼女の専攻とは無関係のデータ入力、カスタマーサポートなど。
終いには「研修」という名で、一か月分の給料が出ない、最終的に福利厚生、ビザのスポンサーに関しても面接で言っていたこととは全然違うということが判明しました。
契約にサインをしてしまったので辞められない、無断で辞めるにも社宅に住んでいるので難しい、知り合いの全くいない土地なので不安、こんなことが全て重なってしまい、最終的に奴隷のごとく働くことになった、という実話です。
これはかなり極端な例かもしれませんが、アメリカにはこういった「アメリカで働きたい」という留学生を搾取する人もまれにいます。
せっかく入ってみても「なんか違った」となるのは避けたいところですね。
たかが一年、されど一年、時間を無駄にするのは誰でも嫌です。
特殊なケース
OPTにも特殊なケースがあります。
ここまで、「一年だけ働ける」「一年後は帰国か、H1Bビザの申請をしなければならない」ということを前提に書いてきました。
しかしこれにも例外があります。
それが「STEM関連の分野を専攻していた学生はOPTの期間の延長申請することができる」というものです。
STEMとは、Science, Technology, Engineering, Technologyのことです。
このへんの学科を専攻していた学生は「最大3年までアメリカで働くことができる」ということになっています。
3年あればある程度の技術や経験も付くので良いですね。
スポンサーしてくれる可能性も一気に上がります。
ということで、本記事の最後になりますが、「本当の本当にアメリカで働きたい」という人であれば専攻選びが大事になります。
つまり上で書いた「Science, Technology, Engineering, Technology」、STEMの専攻を勉強して、アメリカでOPT⇨スポンサーという道を目指すのが現実的でもあるかもしれません。
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