新型コロナウイルス、正式名称は「COVID-19(Novel Coronavirus 2019の略)」ですが、現在全世界で混乱を巻き起こしています。
日本でも国が3月3日から全国の小中高の一斉休校を要請したり、「夏のオリンピックが中止になってしまうのではないか」という心配もあるほど緊急事態であります。
この新型コロナウイルスというのは、中国・武漢から始まったものとされています。
この「コロナウイルス」とは一体なんなのか、なにが原因で始まったのか、なぜ中国なのか、本記事ではこのへんを2002年に起こった「サーズ」の歴史を見ていきながら解説していきます。
中国・武漢
上でも書きましたが、新型コロナウイルス は中国の「武漢」というところから始まりました。
一部ではこのウイルスの名称を「武漢ウイルス」ともしていますが、この「武漢」という街には市場がありました。
現在ではその市場も封鎖され、先日「全面消毒をようやく終えた」とのニュースがありましたね。
「武漢海鮮市場」という名称ですが、その名の通り海鮮や生肉を主に取り扱っている市場です。
最初の41人の患者の内、27人がこの武漢に訪れていたことがわかったことから、今回の新型コロナウイルスは中国・武漢が発生源ということになっています。
これを受けて中国当局はすぐにその市場を閉鎖しました。
中国政府がこれだけすぐに行動に移せたのも、過去にも似たような歴史があるからです。
それが2002年に起きた「サーズ(SARS)」ですね。
サーズも今回のコロナウイルスとかなり似た特徴があり、発生源も武漢のと同じような市場でした。
最終的に29カ国、合計で800人近くの人々がなくなり、その時に中国政府は公式報告をWHOへせず、その情報公開の遅れが国際的に批判されました。
今回のコロナウイルスでは、3月10日の時点で、71カ国、感染者数11万3600人、合計で4000人以上の方が亡くなっているのでサーズよりもさらに深刻と言えるかもしれません。
というのも、20年近く前に起きたサーズのときよりも、現在では中国含む、アジア全体が発展し、国内外ともに人の行き来が激しくなっているからです。
つまり感染拡大の「グローバル化」ですね。
市場?なぜ?
「なんで武漢の市場がコロナウイルスの原因なの?」
こんな疑問ですが、私たち人間の生活において、普段の病気や風邪の多くは「動物」から発生しているのが現実です。
例えば、「鳥インフルエンザ」というのは、その名称の通り、鳥(チキン)から発生するものです。
HIVはチンパンジーから、エボラウイルスはコウモリなどなど、このような具合ですね。
そして今回のコロナウイルスは、コウモリからセンザンコウを介して人に感染したと言われています。
引用:https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/11356?page=2
センザンコウの画像⇩
出典:センザンコウ
武漢の市場は「Wet Market(ウェットマーケット)」と呼ばれていて、つまり「床が濡れている市場」のことです。
生きている動物をその場で殺したり、食肉処理、解体などもその場でします。
中国に行ったことのある方なら、驚きはしないかもしれませんね。
というのも、中国や東南アジアなどの国々にある市場などに行けば、路上に動物がそのまま吊るされている光景も珍しくありません。
フィリピンに行った時に、何頭ものブタの頭が吊るされていてさすがにあれだけは目をそらしたのを覚えています。
残酷な話ですが、それを生業にしていたり、そもそも「食べるものがない」という人にとっては日本では食べないものも食べたりするのが基本です。
ですが、それと衛生問題は別ですね。
出典:VOA News
出典:Reuters
このように生きた動物をゲージの中に入れ、そのゲージを棚積みにしています。
これのなにが問題なのかと言うと、このように棚積みにすることで、動物の排泄物や膿、血などが上から下へ落ちていき、一番下にいる動物は様々な細菌にさらされています。
それらの動物をこのように人間が触り、その人がさらにまた違う人を触ることによって、ウイルスは感染していきます。
なぜ中国なのか
前述したように、このように様々な野生動物や珍獣を食べるのは中国だけではありません。
その他のアジアの国々やアフリカなど主に発展途上国で野生動物&珍獣などが食べられています。
日本でもクジラやイルカ、タコを食べるということで、世界的に有名ですね。
言わずともわかるように、日本人みんながイルカを食べるわけではありません。
地理的な理由やその地域の文化によって、食べる食べないがあるわけですが、中国でもそれは同じです。
アメリカにいるとよく、「中国人(アジア人)=犬を食べるんでしょ?」というステレオタイプを持った人とよく会いますが、中国でも犬を食べるのは少数派です。
「珍獣を食べてるのは中国人だけじゃないじゃん」
そうなのですが、サーズもコロナもなぜ中国で発生したのでしょうか。
ここからはその疑問にお答えしていきます。
野生動物&珍獣⇨産業動物
中国のGDP
出典:Google Gross Domestic Product of China
このグラフでもわかるように中国のGDPは2000年から一気に伸びました。
それ以前は「貧困国の一つ」であり、特に1970年代は飢饉で多くの人が餓死するような状況に置かれていたのが現実です。
そんな時代に中国共産党政府がやったのが、「農業の民営化」でした。
それまで政府が持っていた権利を手放し、農業を民間に委ねます。
それを機にすぐに巨大資本が豚肉、鶏肉、牛肉などのいわゆる「一般的な産業動物」を牛耳ります。
そこで後がなくなった、小さな農業運営者たちは「珍獣や野生動物」に目をつけました。
生き残るためには仕方ありませんね。
最初は家の裏庭で育てて、コソッと売る程度のものでしかありませんでしたが、次第にそれが社会的に認められ、最終的には政府からの認可も得ることになりました。
しかし1980年代後半に政府は「動物保護法」ということで、野生動物を「国の保有資源」ということにしました。
ここからロビー活動が始まり、小さな農業だったのが「産業」に変わりました。
野生動物の「大量生産」が始まり、大量生産された野生動物は一斉に市場に売り出されます。
数が増えれば増えるほど、細菌の発生や感染の可能性も上がっていきますね。
そんな時に起こったのが「サーズ(SARS)」でした。
このサーズをキッカケに中国政府はすぐに市場を閉鎖し、野生動物&珍獣の売買を禁止します。
しかしその後すぐに再開させました。
なぜでしょうか。
ロビー活動の力です。
「野生動物産業」自体は中国政府にとってほんの一部の歳入でしかないのですが、その産業自体ものすごいお金を持っています。
そのお金を通して政府に圧倒的な影響を与えています。
この産業は未だに伸びていて、特に中国の都市で観光客の多い場所では大量の野生動物や珍獣が消費されています。
彼らはこれらの野生動物を「性欲増強」や「筋力アップ」、さらには「風邪を引いた時に良い」などと言う謳い文句で宣伝します。
コロナウイルスが中国で発生したのも不思議ではありませんね。
出典:https://www.youtube.com/watch?v=TPpoJGYlW54
ということで、本記事では最近かなり問題になってきている「コロナウイルス」に関して書いてきました。
人がなにを食べようと自由なので、食生活や食文化に文句を言っても仕方ないかもしれませんが、衛生面や伝染病に関しては困りますね。
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