【日本人の宗教観】海外から見て神道とはどのような概念なのか

【日本人の宗教観】海外から見て神道とはどのような概念なのか

 

[su_box title=”はじめに” style=”glass” box_color=”#6d001d” radius=”10″]

アメリカ人「Do you believe in God?」

僕「No, but I believe in Spirits」

アメリカ人「What do mean by “Spirits”?」

僕「It’s the concept of Shinto」

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日本では古来から「八百万の神々」と言い、全ての万物に神が宿っているという考え方があります。

現在でも日本では、結婚式は教会で挙げ、お葬式は仏教の様式に習い、初詣には神社にお参りに行くという人も多いかと思います。

 

「日本人は宗教には無関心」と言ってしまえばそれまでですが、神道の概念は少なからず今でも日本の文化に大きな影響を与えているのが現実です。

本記事では、「世界から見た神道」ということで、海外と日本の文化を比較しながら、外国の人に日本の神道を説明したい人向けに解説しています。

 

※日本は宗教の自由が認められている国なので、キリスト教の方や、イスラム教、仏教、その他多くの宗教を信じている方もいますが、ここではあくまで神道=日本文化という形で一般化・簡略化しながら書いています。

 

「God」と「神様」の違い

 

現在日本の約半数の方はなんらかの形で神道を信仰しているとされています。

冒頭でも書いていますが、神道を信仰していたり、意識的ではなくとも神社に行ってお参りする方でも、多くの方は(僕含め)「神(God)を信じているか?」と聞かれれば「No」と答えるかと思います。

 

しかし、何かしらの神様を信じているのも事実ではあります。

 

これは「God」と「神様」という言葉の概念自体に違いがあるからです。

つまり、日本語の「神様」という単語を「God」という単語にそのまま訳したのがそもそもの間違いだからです。

 

神道においての「神様」は、「God」ではなく、もっと「Spirits」というような単語に近くなります。

これは仏教の「仏様」にも同じことが言えます。

 

仏教(Buddhism)において「God」というのは存在しないように、神道にも「God」は存在しません。

つまり、「八百万の神々」というものは、「自然のもの全てに神が宿っている」という概念から来たもので、太陽を筆頭に、海、石、木々、すべての自然に神が存在するという考え方です。

 

これがキリスト教やイスラム教などの「God」と異なるのは、「そもそも単数系ではない」という点です。

したがって、神道においての神様は「God」と訳すよりも、「Spirits」と訳したほうが近い意味になります。

 

 

神道=宗教?

 

「宗教」とは読んで字のごとく、「教えるのを宗とする」ものです。

 

つまり、キリスト教には聖書があり、教える人はイエス・キリスト、イスラム教にはコーランがあり、マホメットが教える人です。

仏教で言えば、教える人はお釈迦様であり、経典が存在します。

 

しかし神道に関しては、自然発生的にできあがり、その後は口語で伝えられてきたものなので教える人もいなければ教える教材も存在しません。

強いて言うならば、日本最古の書籍である「古事記」や「日本書紀」が「聖書」にあたるものですが、これらはあくまで「歴史書」なので、誰かの「教え」というよりも、日本人全体の思想、規準などを記したものに近いです。

 

また、宗教には「入信する」、「出家する」などの言葉がありますが、神道には入信も出家も、宗教団体に入るという言葉も存在しません。

なので神道では布教活動も基本的にありません。

 

自然の大切さ、偉大さに感謝し、祈願するのが神道の最大の特徴です。

つまり、神道は「教えるもの」ではなく「感じるもの」に近いということもあり、「神道=宗教」と言うと少し違和感があると思います。

 

これは上の「God」と「神様」の概念の違いと同じように、「宗教」という言葉自体が西洋の概念から来たものだからと言えます。

明治期に「Religion」という言葉が初めて日本に来た時、これを日本語で「宗教」と訳しました。

 

したがって、「宗教」という言葉はあくまで西洋的な概念、キリスト教を基準に考えて作られた言葉です。

 

このようなことから、「神道は宗教なのか」と考えること自体がそもそも相容れないというのが現実です。

神道は「Religion(宗教)」という言葉よりも、もっと「Belief(信仰)」という言葉の方が近いとも言えます。

 

 

日本文化から見る神道

 

世界でも人気がある日本のポップカルチャーですが、特にアニメには神道の要素がたくさん描かれています。

最もわかりやすいのはジブリの作品です。

 

例えば、もののけ姫では、作中に出てくる「たたり神」や、「自然とともに生きていく」というセリフは神道を理解して初めて深く残る言葉です。

「千と千尋の神隠し」に登場する「ハク」も古事記に出てくる神様「ニギハヤヒノミコト」からとったものだと考えられています。

 

世界的に大ヒットした「君の名は」では、古事記のストーリーにリンクしている部分が多数あります。

もっとわかりすいところで言えば、ドラゴンボールの「元気玉(英語ではSpirit Bomb)」も、自然の力を借用して悪を倒すという意味でとても神道的です。

 

このように海外の方が惹かれる日本文化には神道的要素がたくさん詰まっています。

逆に言えば、外国の方に神道の概念を説明したい時、このような日本のポップカルチャーの例を使いながら説明すると割と意味合いだけはくみとってもらえることが多いです。

 

 

「宗教を信じている?」

海外にいるとこのように聞かれることが多々あると思います。

 

僕は毎回「No」と答えています。

ですが、日本に帰れば神社に行ってお参りをしますし、実家には神棚が飾ってあります。

 

「神様は存在しない」とも思っていません。

 

したがって、筆者は英語で神道について説明する際には、「神道では唯一神の「God」という存在ではなく、自然的で複数形である「Spirits」が対象なんだよ」ということを伝えるようにしています。

 

神道について説明したいときに使える英語のテンプレを貼っておくので、よろしければ使ってください⇩

 

 

Template

I don’t believe in religion, but I believe in Shinto.

Shinto is technically not a religion, but belief.

It doesn’t have a doctrine or someone to teach you, but it is all about how you feel.

 

In the way of Shinto, people believe in Spirits or power of nature rather than God or absolute being. 

 

 

 

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