日本において「社会問題」と言えば、少子高齢化問題や地方過疎化などがまっさきに上がってくるかもしれません。
もちろんですが、アメリカにおいても国内問題はあります。
それもかなり深刻です。
日本に住んでいる以上、アメリカの社会問題は日本にいても結構な影響力があります。
また、「今度アメリカに仕事で行くんだけど」という方、「将来アメリカに留学したいな」という方は知っておくとかなり便利になります。
というのも、アメリカ人と日常の会話をしたり普通に生活していく上で基本的な常識として知っておいて損はありません。
筆者は現在アメリカの大学に通っています。
実際に大学の授業では、アメリカの社会問題を知っている前提でクラスが進んでいきます。
そんな時にアメリカの社会問題を知らないとそもそも議論についていけないこともあります。
例えば「Racial Profiling(人種に基づいて安全捜査を行うこと)についてどう思うか」などの議論だと、アメリカの人種差別問題の根底を知っておかなければそもそも建設的な議論ができないということもあります。
言うまでもなく、英語の勉強に関しても文化的背景を知っていると効率が格段に上がりますね。
ということで、本記事ではアメリカの主な社会問題トップ5ということで詳しく解説していきます。
①移民問題
トランプ大統領の主な政策を見ていくだけでアメリカの社会問題の多くが紐解けると思います。
その中でも特に特徴づけるのは移民問題です。
「メキシコとの国境に壁を建設する」と言って大統領選挙の時から度々反感を食らったり、熱狂させたりしてきましたが「そもそもそれってなんなの?」ということをここでは簡単に説明します。
壁を作るってそもそもなんで?
アメリカとメキシコは地続きでかなりの長さで国境があります。
アメリカは世界一の経済大国ですので、メキシコで職を失った人や「ビジネスで一発旗をあげたい!」という方々が国境を超えてアメリカに渡ります。
アメリカは「自由の国」なので、それ自体はなにも問題はないのですが、彼らの多くは不法移民で正式な手続きを踏まないままアメリカ西南部に定住するのです。
その中にはもちろんアメリカに元々いた方の職を奪ってしまったり、薬や銃器などの売買をして荒稼ぎする人もいるのも事実です。
トランプ大統領の政策は何故賛否両論なのか
「アメリカ人の職が奪われたり、治安が悪くなっているのにそれを防止することがなんでそんなに悪いことなの?」
こんなふうに思う方も多いと思います。
しかし歴史を見てみると、アメリカ合衆国はそもそもが「移民の国」であり、ヨーロッパから来た人達がアメリカ大陸に渡って先住民が住んでいた土地に移り住みました。
その後もアジアやその他の世界の至る所から「アメリカで一念発起したい!」という人達がアメリカに望みを託して渡りました。
それなのに後から来た人達は排除するというのは非常にアンフェアですね。
アメリカ人はそういうのを特に嫌うわけです。
南部の農業は低賃金の労働者(メキシコからの移民)で支えられている
日本でも農業の労働力不足がかなり問題となっていますが、これはアメリカでもかなり深刻な問題です。
特に昔から耕作が盛んな南部の州では、その農業の労働力を主に支えているのはメキシコから移民としてやってきて、「俺はなんでもするよ」という方々がアメリカのコーンなどの主食をまかなっています。
彼らがいなくなってしまえば、「じゃあ誰がやるの?」という話になりますよね。
②人種問題
ざっくり言いますと、アメリカにはまだ人種差別が存在します。
南部の方に行くと特にわかりやすいと思います。
例えば僕の住んでいたインディアナ州のど田舎にもKKK(クー・クラックス・クラン)の組織はありましたし、アメリカ連合国(南北戦争時)の旗が玄関に飾られている家を見ることもあります。
有色人種の方に対しての警察の態度が違う
これは最近アメリカのニュースをみているとしょっちゅう目にしますが、黒人の方が警察に発砲され殺されてしまうケースが多々あります。
また、殺されはしなくても有色人種の方々は特に警察官に非常に手荒く扱われるという事があり、国内では度々デモが多発しています(このデモもかなり過激)。
逆に言えば警察官の方々もかなり大変な面もあります。
例えば、アメリカは銃社会なので、捜査中いつどこで犯人から撃たれるかわかりません(実際に殺害された警察官の方も多数)。
したがって、怪しいと少しでも感じた人に対してはかなり過剰に接さないとやられてしまう、ということですね。
“Racial profiling”は是か否か
上でも言及しましたが、「Racial profiling」とはつまり肌の色によってセキュリティの難易度を変えることを云います。
わかりやすい例でいえば、空港においてイスラム教の方々に対して特に荷物チェックを厳しくするという行為です。
これは911テロ以降かなり厳しくやっていて、「セキュリティ上仕方ない」という見方と「それは明らかな人種差別なのだから廃止した方がいい」という見方で意見が別れています。
③銃規制
日本のニュースでもよく見ることがありますが、アメリカでは特に最近「Mass shootings」(銃乱射事件)が多発しています。
「そろそろ銃器を規制した方が良い」という意見が世界からある中で国内ではまさに二分に別れています。
日本だけでなく世界から見ても不思議
「アメリカは銃社会」というのをよく聞きますがアメリカは世界一国内に銃器が存在する国です。
その数は戦争中の国よりもはるかに上回ります。
そういうのを聞くと日本人の私達からしてみれば不思議な感覚になりますが、これは他のアジアの国やヨーロッパから見ても不思議です。
ですので度々世界から「アメリカは銃器を規制するべきだ」という声がある中でアメリカは一向に改善しようとはしません。
そもそもなんで?
「Why アメリカンピーポー!!!!!!」 と厚切りジェイソンに逆に言ってやりたくもなりますが、そもそもなぜでしょう。
それはアメリカの歴史を見るとわかります。
アメリカ合衆国憲法では武器の保有の自由はなんと2条に定められています。
「先人が決めた2番目に大事な約束」というふうにも言えます。
というのもアメリカ建国の最初でもあるイギリスとの戦争で、「自ら武器を持った住民が一緒に戦って勝利を手にした」という歴史があります。
そして自由を掲げて勝ったわけですから銃器の保有の自由というのはアメリカ人のアイデンティティーでもあります。
また、自由の国ですから、独裁者などが政権を手にしてしまった際には「国民が武器を持っていつでも対抗できるように」と、常に政府にプレッシャーをかけているという意味でもこの憲法第二条はアメリカの方々にとって非常に重要な意味を持っています。
④貧富の差(社会保障)
四つ目の社会問題は貧富の差です。
アメリカは「自由と平等の国」というのを掲げている一方で、根っからの資本主義国家です。
成功した人は大金を手にし、失敗すればどん底です。
弱肉強食の世界ですね。
ニューヨークやロサンゼルスといった、世界最大都市の一つとも言われる街ですら、ホームレスや物乞いなどの人達が至る所にいます。
なんで税金でまかなわないの?
シカゴやロサンゼルスの郊外に行くとわかりますが、ある一線を越えるとたちまち街の様相が変わるということがあります。
つまりお金持ちの人達とお金を持っていない人達で住む場所が一線で別れています。
というのも、
A地区の政治家
「うちの地区では税収は社会保障や生活に苦しんでいる人達に使いますよ!」
B地区の政治家
「うちの所ではみんなが益を得られるように、道路整備や安全面に税金を使います!」
お金を持っていない人達⇨A地区に引っ越す
お金持ち⇨B地区に引っ越す
A地区のような場所だと税収もなかなかないので道路整備や警察などに手が回らない⇨結果的にその地域だけカオス、ということになります。
この悪循環がアメリカ国内の至る所で起きているので、これが貧富の差が一向になくならない理由です。
⑤肥満問題
アメリカのレストランは基本的に高いです。
よく言われているように、アメリカはすべてのものがでかいので、レストランの食事も必然的に$10〰$15+チップ(地域によっても異なりますが)は最低でもかかります。
安く楽に済ませようと思ったら「ファストフードでいいっしょ」となるのも当然ではありますよね。
日本の「すき家」や「コンビニ弁当」、「おにぎり」のような健康的で安いものが充実していればいいのですが、アメリカで一番安く済ませられるのは、ファストフード一択になります。
最近ではレストランでも「塩分や糖分をあまり入れないようにと義務付けるべきだ」という声も上がっていますが、これは食文化的な側面があるので改善はかなり難しいかと思います。
アメリカの問題はかなり深刻
本記事ではアメリカの社会問題を取り上げてきましたが、これだけ見ると「アメリカやばくね?」ってなりますね。笑
どこの国も深刻な社会問題を抱えてるのは一緒かもしれませんね。
「他にもアメリカの社会問題や政治についての記事ないの?」
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