「海外ではなぜチップを払うのか?」⇨働き方の違いです

「海外ではなぜチップを払うのか?」⇨働き方の違いです

 

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アメリカ人「日本のウェイターの時給はいくらくらいなの?」

僕「高くて1000円くらいかな。アメリカは?」

アメリカ人「アメリカは500円くらいが相場だよ」

僕「やすっ!!」

アメリカ人「その代わりチップをもらえるからね」

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海外旅行に行く日本人の方が最も困るものの一つに「チップ文化」があります。

言うまでもなく、日本にはチップの文化はありません。

 

ヨーロッパや北米などの国のレストランではお客さんは帰るときに担当をしてくれたウェイターの人にチップを置いていくのがマナーとされています。

また、それ以外のアジアや発展途上国の国でも、例えばタクシー、ヘアーサロン、マッサージなどのサービス業ではチップを渡すのが基本です。

 

日本ではほとんどの場面&業種においてチップを渡すことはないので、日本から海外に旅行に行く方は「なんで??」と思ったり、「そもそも必要ないでしょ!」と感じる方も多いかと思います。

 

ということで、本記事ではそんなチップ文化について詳しく説明していきながら、「チップ文化からわかる海外と日本の働き方の違い」ということで解説していきます。

 

チップを払う場所

 

ファストフードでは基本的にチップを払う必要はありません。

チップを払うのか、払わないのか、その基準は基本的に「サービスを受けたのか」という点です。

 

例えば、レストランでは席まで誘導され、料理を注文して、運んできてもらうまでが「サービス」です。

タクシー、ヘアーサロン、ホテルなども「サービス料」として料金とは別にチップを渡すのがアメリカやヨーロッパの国では基本です。

 

チップの相場

 

チップとして渡す料金はサービスの内容に応じて変わります。

国や物価によっても大きく変わるので、ここではわかりやすいようにアメリカでの相場をご紹介します。

 

一般的なレストラン⇨15%〜20%

 

デリバリー⇨10%〜15%

 

ビュッフェ⇨10%〜20%

 

バー⇨一杯につき1ドル

 

タクシー⇨15%〜20%

 

ツアーガイド⇨10%

 

ヘアーサロン⇨20%

 

洗車⇨1ドル〜3ドル

 

ホテル⇨1ドル〜2ドル

 

チップは強制なの?

 

もちろんですが、サービスに対して満足していなかったり、単純に渡したくなければチップは払う必要はありません。

チップはあくまで「強制」ではないですが、「義務」なので基本的には払いましょう。

 

よく「アジア系の観光客はチップを払わない」という悪評がありますが、これはアジアの多くの国ではチップの文化がないからです。

したがって、アジア系のレストランやアジア系のお客さんが多いところではお会計にチップが自動的に加算されているところもあるので確認しましょう。

 

「Is the tip included?」(チップは含まれてますか?)

直接聞きたいときはこれでOKです。

 

 

チップ文化とは?

 

「なんでチップなんて払う必要があるの??」

日本で生活をしていればこう思う方も多いはずです。

 

特に日本のレストランではウェイターにチップなど渡さなくても完璧なまでのサービスが受けられます。

実際に筆者もアメリカに来てすぐの時は慣れずにレストランで会計をする度に少し損をした気分になっていました。

 

しかし、実際に労働者の気持ち、社会全体で考えてみるとチップの文化はメリットが多いのも現実です。

 

チップの始まり

 

そもそもチップを渡すのはどこから始まったのかということですが、昔欧州では貴族階級や社会的に身分の高いものが平民に何かを頼むときに「お駄賃」として渡したことから始まります。

また、サービスをいち早く受けたい人が従業員にお金を渡して順番を抜かしたということから始まったとも言われています。

 

チップのメリット

 

チップの起源はさておき、現在でも欧州やアメリカなどの国ではチップが存在します。

基本的に「レストランに行く人」=「裕福な人」というのは昔からさほど変わりなく、チップは低賃金の労働者とお金持ちの差を埋める役割でもあります。

 

上でも書いたように、レストランのウェイターの給料は「チップがあるから」という理由で格安です。

アメリカではレジの人の給料は9ドル程度が相場なのに対し、ウェイターは5ドルほどです。

 

しかし、チップがあるので人気のレストランならアルバイトでも1ヶ月30万円ほど稼ぐのも珍しくありません。

それほどチップは労働者にとって重要な収入源でもあります。

 

働き方の違い

 

また、日本やアメリカ・欧州の国々では「サービス業」の概念が違います。

日本ではファミレスやファストフード、コンビニですらも、足を運べば店員さんは丁寧に接客をしてくれます。

 

コンビニでお弁当や飲み物を買えば何も言わずとも袋の中にお箸やストローが一緒に入っているのが基本です。

しかし、海外ではこれはありえません。

 

「なんでストローを入れてないの?」

このように苦情を言っても、「欲しければ言えば良かったじゃん」と言われて終わりです。

 

つまりコンビニなどでは店員さんはそれなりの接客ですし、お客さんもそれ以上は求めていません。

 

しかしレストランやホテルでは話が違います。

レストランで高いお金を払って、良い接客をされればそれ相応のチップを渡さなければいけません。

 

「サービスは無料ではない」

つまりこのような考え方ですね。

 

「お前の接客態度がお店全体のイメージに関わる」

筆者は日本で働いていた頃にこのように言われたことがあります。

 

おそらく接客業を経験したことがある方はほとんどの方がわかることかと思います。

だからこそアルバイトや新入社員には徹底して教育をします。

 

その代わりの「対価」としてお給料をもらうわけですが、アメリカではその対価は雇い主ではなくお客さんから直接もらうことになります。

接客態度が悪くても店長やボスは基本的に何も言いません。

 

しかしチップとして直接自分にはね返ってきます。

なので、必然的に「受動的」ではなく、「能動的」に働くことになります。

 

つまり会社やお店への貢献ではなく、単純に「自分のため」に働くのがチップ文化がある国での働き方です。

これが日本とチップ文化のある国の働き方、サービス業の違いでもあります。

 

 

一長一短です

 

本記事では「チップ文化のメリット」を一方的に書いてきましたが、これはどちらが良いとかではなく、結局は一長一短でもあります。

日本の感覚からしてみればお水やおしぼりが何も言わずとも出てくるのは当たり前で、チップなんか必要ないと思いがちですがそんなチップ文化にも大きなメリットがあります。

 

アメリカや欧州では日本以上に労働者は重宝されているのが現実です。

実際にレストランなどのウェイターには「Thank you」と言って直接チップを渡すのは、基本的な「感謝の意」でもあります。

 

また、労働者の方もチップをもらうために「能動的」にサービスを提供します。

「能動的」というのは、マニュアル通りの接客ではなく自分自身の「マーケティング」でもあります。

 

例えば、アメリカのレストランではまず最初にウェイターが自己紹介をすることがよくあります。

お客さんとそのまま友達になって、次にお店に来るときまで名前を覚えていてくれることもあります。

 

つまりこれが本当のサービス業と言えるかもしれませんね。

 

 

 

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