アメリカ・ニューヨークやロサンゼルスのような大都市に行くとアメリカが抱えている貧富の格差を垣間見ることができます。
街中にはホームレスがあふれ、ある一線を越えると街の雰囲気が一変します。
「世界中で貧困が問題になっているけどなんで?」
それはアメリカの資本主義を見ると紐解けます。
本記事ではアメリカの歴史と共に「アメリカではなぜ貧富の格差が激しいの?」という疑問に答えながら、「貧困がなくならない理由」について解説していきます。
アメリカの貧富の格差の現状
アメリカは根っからの資本主義の国です。
昔から共産主義を徹底否定し、自由経済・自由貿易をしてきました。
その副産物が今日の貧困問題とも言えます。
「成功したものは大金を手にし、失敗したものはどん底」
これが資本主義の根底にあるものですが、現在のアメリカの現状を見てみるとよく分かります。
アメリカの億万長者
世界のお金持ちランキング
毎年「Forbes」が出している「世界のお金持ちランキング」ですが、このランキングを見て分かるようにほとんどの方が(白人)アメリカ人です。
「アメリカ人の上位1%の持つ資産は下位90%の資産と同等」
このようにも言われています。
これ自体は何ら問題のないことですが、その一方で日本とは比べ物にならないほど貧困層がいるのも現実です。
「アメリカ3億人いる人工の内、4000万人以上の人が貧困に苦しんでいる(その中の1200万人が子供)」
つまり、「アメリカ国民のおよそ6人に1人は貧困で苦しんでいる」ということになります。
参考:Facts about poverty and hunger in America
日本のような社会保障制度がないアメリカでは「まともに病院も行けない」ということが起きています。
ではこれはなぜでしょうか。
次に「アメリカから貧困がなくならない理由」について実際に詳しく見ていきましょう。
アメリカから貧困がなくならない理由
アメリカは移民の国
前述したように、アメリカは根っからの資本主義国家です。
成功したものは富を手にする一方で失敗したものは貧困層です。
ビジネスで成功するために多くの人がアメリカに渡ります。
最近では移民による治安の乱れや、職が奪われるなんていうニュースもやっていますが、同時にアメリカの億万長者の多くは元々は移民だったというのも事実です。
つまりアメリカには「自己責任意識」がとても強いのです。
これがアメリカで社会保障制度をはじめ、税金の引き上げが非常に困難な理由です。
例えば、オバマ政権時代に「オバマケア」という制度が作られました。
これは「貧困層の方も平等に医療が受けられるように多少の医療費は国が負担するよ」とオバマ前大統領が作った社会保障制度でした。
しかし、その数年後にトランプ大統領によってすぐに見直しがされてしまいます。
トランプ大統領支持者の多くは、「それは自己責任、自分で民間の保険に加入すればいいだろ」という声が多いのが事実です。
つまり低所得者・移民を国(税金)が守るようになってしまったらそもそも成り立たないわけです。
※「オバマケア」についてはこちらの記事参照⇩
というようにアメリカは「移民の国」であるがゆえに「自己責任意識・独立精神」が非常に強いと言えます。
結果的に国が社会保障制度や税金の引き上げをやりづらいということが起きています。
冷戦とソ連の崩壊
第二次世界大戦後、アメリカとソ連で「東西冷戦」というものが起きます。
アメリカ=資本主義圏
ソ連=共産主義圏
資本主義
「政府は介入せずに競争市場を活性化させ自由経済を目指す」
共産主義
「国家が経済に介入して自由経済よりもむしろ平等を目指す」
このような政治の方針の違いから、
アメリカ+西側諸国
VS
ソ連+東側諸国
このような構図で第二次世界大戦後すぐに対立し始めます。
しかし、1989年にドイツ・ベルリンの壁が崩壊し、その二年後にソ連が崩壊します。
完全なる資本主義の勝利となりました。
よって「資本主義こそが正義だ」⇐この考えが世界の常識になり、それまで共産主義だった東側諸国がこぞって自由経済・自由貿易をし始めます。
歯止めが効かなくなった
東西冷戦当時は「共産主義」の驚異がブレーキとなっていました。
「資本家だけが裕福な暮らしをして不平等だ」
アメリカ国内で格差があまりにも酷くなってしまえば、このように国民の不満が溜まり、最悪の場合「革命」が起きかねません。
なので政治家もあまり思い切った政策(税金の引き下げなど)は出来なかった、というのが現実でした。
しかし今は「共産主義革命」という驚異はなくなりました。
したがって、アメリカはどんどん徹底した資本主義に向かいます。
ソ連崩壊後格差が拡がり続けているのはこのような構図からです。
グローバリズムの実態
さらに格差が拡がり続けている原因として、「グローバリズム」が挙げられます。
100円ショップの商品はなぜ100円なのでしょうか。
これは中国や東南アジアなどの安い労働力で大量生産した製品だからです。
人件費が少ない分、企業はコストを下げられる。
結果として消費者(日本人)は安く製品を購入できるので良いのですが、これには例外があります。
アメリカ最大大手の「ウォルマート」や「Amazon」を見てみると分かります。
「ウォルマート」とはアメリカにあるチェーン店で、激安&アメリカ最大の品揃えをウリにしている世界最大の売上を誇る企業です。
留学生やアメリカに滞在している方は行ったことがあると思います。
「Amazon」は知ってる方も多いと思いますが、ネットショッピング最大大手です。
これらはなんでも安く売っているのでとても便利な一方でアメリカの格差を拡げている原因でもあります。
例えば、アメリカ国内には5000店舗を越えるウォルマートがあると言われています。
ウォルマートが国内至る所に進出していることによって、個人小売り店が相次いで潰されているのが現実です。
海外に多くの工場を持ち、格安の人件費で商品を生産&輸入している大企業に個人が勝てるはずがありません。
よってこのような超裕福な資本家によって個人のビジネスや職が奪われてアメリカ国内の格差をどんどん拡げています。
「グローバリゼーション」の副産物と言えますね。
民主主義の行き詰まり
そして最後に「民主主義の行き詰まり」が原因として挙げられます。
シカゴやロサンゼルスの郊外に行くとわかりますが、ある一線を越えるとたちまち街の様相が変わるということがあります。
つまりお金持ちの人達とお金を持っていない人達で住む場所が一線で別れています。
「そもそもなんで?」
というのも、
A地区の政治家
「うちの地区では税収は社会保障や生活に苦しんでいる人達に使いますよ!」
B地区の政治家
「うちの所ではみんなが益を得られるように、道路整備や安全面に税金を使います!」
お金を持っていない人達⇨A地区に引っ越す
お金持ち⇨B地区に引っ越す
A地区のような場所だと税収もないので道路整備や警察などに手が回らない⇛結果的にその地域だけカオス、ということになります。
A地区で生まれ育った子供は犯罪・差別・貧困と常に隣り合わせで生きていかなければならず、まともに教育も受けられません。
このような環境で生き抜くためには犯罪に手を染めなければならないこともありますが、普通の暮らしをしている人にはわかりません。
このような犯罪事例も「自業自得」だと思うのが、一般的の人の認識です。
つまりこれが貧富の差が一向になくならない理由です。
つまり、民主主義に「行き詰まり」が生じている状態です。
アメリカの貧困⇨かなり深刻
「人間は生まれ持ってみんな平等な権利を持っている」
アメリカが掲げているこの理念は嘘です。
平等ではありません。
生まれてきた環境によって将来がほぼ決まるのがアメリカ社会の現実です(特に低所得者)。
日本のような中間層が多い国ではなかなか見えてこない問題かも知れませんが、アメリカでは貧富の差が半端ないのが現実です。
この貧富の格差が「人種問題」や「アメリカの分断」に拍車をかけているとも言えます。
「アメリカについてもっと詳しく知りたいな」
こんな方、以下の記事からどうぞ⇩
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